1988 Fiscal Year Annual Research Report
外科的過大侵襲下における骨格筋芳香族アミノ酸の動態と蛋白質代謝回転に関する研究
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63570614
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森 栄五 帝京大学, 医学部, 講師 (40166351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 洋美 帝京大学, 医学部, 教務職員
長谷部 正晴 帝京大学, 医学部救命救急センター, 講師 (00082264)
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Keywords | 芳香族アミノ酸の代謝 / 遊離芳香族アミノ酸濃度 / 熱傷ラット / 敗血症ラット |
Research Abstract |
感染症や炎症では血中フェニルアラニン/チロシン濃度比が、正常値の2倍以上も増加することについて、肝臓でのフェニルアラニンのチロシンへの変換や酸化分解の効率との相関関係を検討した。これまで熱傷ラットと敗血症ラットを用いて異化亢進時の血漿、肝、筋組織の遊離アミノ酸レベルの変化を調べ、さらに腹筋組織のアデニンヌクレオチド類とホスホクレアチンの濃度、RNA/DNAを測定した。その結果、遊離のフェニルアラニン、チロシン濃度も腹筋と血漿中で上昇傾向を示した。受傷後、骨格筋組織のエネルギー状態は、ホスホクレアチンを分解することでATPレベルが維持されるが蛋白質分解が増大した。次に肝ホモジネートを用いて、Tyrosine aminotransferase(TA)、Phenylalanine hydroxylase(PH)Phenylalanine-pyruvate aminotransferase(PA)、3酵素の活性変化を測定した。敗血症ラット、熱傷ラットいずれにおいてもTA活性は5ー15倍まで急増してチロシンが速やかに分解処理される。フェニルアラニンをチロシンに変換する段階は律速でありこれを触媒するPHは、生理的補酵素を用いた測定では2倍以上に活性化されていた。しかし、合成補酵素を用いて測定したPH活性は、敗血症ラットでは有意に減少しておりその酵素量は減少していると思われる。フェニルアラニンの酸化速度の測定のために、敗血症ラットに経静脈的にL-[^<14>C(U)]-Pheをパルス注入し、7時間経過まで呼気中の^<14>CO_2を回収した。フェニルアラニンの酸化率を算定したところ有意に対照群ラットに比べて増加していた。これは、敗血症ラットではPHの活性化、そして熱傷ラットでは活性が変化しなかったPA活性も上昇していることに起因すると思われる。敗血症や感染症では、おそらく肝での分解処理能力以上に骨格筋を中心とする末梢組織からの芳香族アミノ酸の動員が増加すると考えられるが、その詳細は今後の研究課題である。
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Research Products
(1 results)