1988 Fiscal Year Annual Research Report
十二指腸乳頭部Oddi筋と消化管運動の相関ならびにその機能異常に関する研究
Project/Area Number |
63570616
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鈴木 英登士 弘前大学, 医学部, 講師 (60142858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 賢一 弘前大学, 医学部, 助手
百田 行雅 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | Oddi筋運動 / 十二指腸運動 / 胆汁排出機序 / migrating motor complex(MMC) |
Research Abstract |
胆道から十二指腸への胆汁排出は食餌期のみならず非食餌期(空腹期)においても行われており、食餌期における胆汁排出とOddi筋運動についてはかなり解明されてきているが、空腹期のOddi筋運動については動物実験での報告は散見されるものの、ヒトにおいては全く不明といって過言でない。そこで教室創案のnew approach法によりヒト9例について、十二指腸migrating motor complex(MMC)とOddi筋運動との関連について検索した。測定9例のうち4例でMMC phaseIからphaseIIIまで全経過の記録が可能であった。すなわちこの4例は十二指腸が全く静止期にあるphaseIでもOddi筋は3.8±0.4cycles/minの周期的運動をくり返しており、amplitudeはそれぞれ76±27mmHg、157±67mmHg、67±19mmHg、79±23mmHgであった。十二指腸運動が間歇的に出現してくるphaseIIではOddi筋は良くこれと相関し、そのfrequency2.8±0.6cycles/minと若干低下し、持続時間は19.5±2.5分であり、3〜5個の連続した収縮波群の間歇出現が特徴的であった。そして1分間に11回前後の著明な十二指腸運動亢進を示すphaseIIIではOddi筋もこれに連動してそのfrequencyは10.0±0.5cycles/minとなり、その持続時間は3.6±0.7分であった。すなわちduodenal phaseIではOddi筋は十二指腸より機能的独立性を有し運動しているが、phaseII、phaseIIIではこれと密接な関連を有していることが判明した。このことは空腹期においてOddi筋は一様なリズムで運動しているのではなくMMC cycleとの密接な関連を示すものである。これを胆汁排出との関連についてみると、肝胆道scintigraphy,35mm cine film撮影分析からphaseIII、そしてphaseIでも胆汁排出抑制が強く示唆された。今回のヒトにおける結果そして欧米でのopossum、イヌで成績はそれぞれ相互にかなり異なっており、種差による影響と思われるがこの点に関しても、生理学の最終目標であるヒトでの検索を引きつづき行う所存である。
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[Publications] 鈴木英登士: 日平滑筋誌. 22. 385-388 (1986)
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[Publications] 鈴木英登士: 胆膵の生理機能. 3. 41-46 (1987)
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[Publications] 鈴木英登士: 文部省研究助成総合研究(A)昭和61年度研究報告 十二指腸乳頭部機能脳と胆膵相関. 13-16 (1987)
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[Publications] 小野慶一: 胆と膵. 8. 683-691 (1987)
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[Publications] 小野慶一: 肝胆膵. 16. 449-457 (1988)
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[Publications] 鈴木英登士: 日平滑筋誌. 24. (1989)