1988 Fiscal Year Annual Research Report
生体内ポリアミンの消化管運動抑制作用と嘔吐機構への関与にす関する研究
Project/Area Number |
63570617
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
羽田 隆吉 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50125457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 総一郎 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
三上 勝也 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | spermine / vomiting / migrating motor complex / MMC |
Research Abstract |
イヌの胃腸管にstrain gauge force transducerを縫着、慢性的に維持し,spermineの持続静脈内投与により胃腸管運動がどのように変化するかを調べた。 1.Digestive stageにおける観察:dog food20g/kgを摂取させ、2時間後からspermineを2時間にわたり投与した。投与前1時間のmotor index(MI)をcontrolとし、運動の変化をみた。1)30μmol/kg/hr投与;投与開始より1,2,3時間目のMIは胃幽門部(A)、上部空腸(J_2)で各々0.9,1.25,1.68ならびに0.83,0.5,0.5であり、Aでは投与中の軽度抑制と投与後の促進が、またJ_1では50%の抑制が観察された。下位空腸(J_2)、では投与開始後20分にmigrating motor complex(MMC)と酷似する収縮が出現、上部回腸(I_1)、回腸末端(I_2)へと伝播した。Aの運動が亢進する時期にはJ_2以下の腸管は持続的に収縮MMCの再出現をみなかった。2)60μmol/kg/hr投与;投与開始10分以内に胃の運動は完全に消失、一方開始後4分でJ_1にMMC様収縮が表れJ_2へ伝播した。I_1、I┣D22では最高で50%のMI減少がみられたMMC様収縮は発現しなかった。spermine開始後40分からvomitingが繰返し起こった。 2.Interdigestive stageにおける観察:第3番目の胃空腹期強収縮(MMC)が観察される予定時刻の10分前(phaseI)にspermineの投与を開始、胃腸管運動を観察した。1)30μmol/kg/hr投与;胃MMCは予定時刻に出現したphaseIII様収縮がspermine投与期間を越えて更に1時以上持続したJ_1-J┣D22では胃運動の変容とは無関係にMMCが規則正しく生起し伝播した。2)60μmol/kg/hr投与;胃強収縮は予測時刻に出現、phaseIII様収縮は5時間にわたり持続した。spermine開始後25分でvomitingが起こった。J┣D21┫D2-J┣D22┫D2ではMMCが発生、伝播がみられた。 以上の事よりspermineの催嘔吐作用は単に胃腸管の減弱又は亢進といった機構によるものでなく、相当複雑なものと考えられた。またdigestive stageでspermineによりMMC様収縮が誘発されたことはThompson & Malagelada(1982)がヒトでvomitingとMMCとの関連に言及していることもあり興味深い。
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Research Products
(1 results)