膵ランゲルハンス島の急速凍結保存とその生物学的機能維持に関する研究

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63570626
• Research Institution: 福井医科大学
• Principal Investigator: 小島 靖彦 福井医科大学, 医学部, 講師 (00135071)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 野手 雅幸 福井医科大学, 医学部, 助手 (60189412) ; 中川原 儀三 福井医科大学, 医学部, 教授 (10019549)
• Keywords: 膵ランゲルハンス島 / 凍結保存 / ラ島再生能

Research Abstract

ゴ-ルデンハムスタ-(雑種)膵よりランゲルハンス島(以下ラ島)を文理し、3日間の培養(培置:RPMI1640)を付加した後、急速冷却速度を用いて凍結保存を試みた。凍結方法はプログラムフリ-ザ-を用い、凍害防止剤として15%Me_2SOを使用し、0℃にて30分間浸積した後、25℃/分で-70℃まで冷却、以後2週間液体窒素(-196℃)内に保存した。これらの凍結ラ島を用い以下の実験を試みた。なお対照には非凍結培養ラ島を用いた。1.実験;(1)解凍後の培養において、そのグルコ-ス濃度を50、100、200、300、500mg/dlとして、その回収率を検討するとともに、得られたラ島のグルコ-ス付加によるインスリン分泌能を検索した。(2)約300個の凍結保存ラ島をSTZ誘発糖尿ハムスタ-(GN種)の腎被膜下、あるいは脾臓内に移植し、その再生能をオ-トラジオグラフィ-法で検索した。即ち、犠牲死6時間前に^3H-thymidine30μCiを腹腔内に投与し、これらの取り込みを顕微鏡下でラ島細胞のlabelling indexを算出することによって検討した。(3)腎被膜下、あるいは脾臓内に移植された凍結保存ラ島にヘマトキシリン・エオジン(以下H-E)染色、あるいは免疫組織染色を施し形態学的に検討した。2.結果:(1)対照ラ島の回収率はそれぞれのグルコ-ス濃度において92%前後で有意差をみなかった。凍結ラ島において最も良好な回収率(83%)を示したものは、500mg/dlのグルコ-スを培地に添加した時であり、また同ラ島はインスリン分泌能の検索でも良好であった。(2)約300個のラ島移植後の血糖値は300mg/dl前後であり、糖尿病を完全に改善させるに至らなかった。これらのsuboptimal"なラ島数の移植における腎被膜下、脾臓内でのlabellimg indexはそれぞれ0.88±0.19、0.28±0.03であった。(3)H-E染色、免疫組織染色で、viableな移植ラ島を腎被膜下、脾臓内に観察することができた。

Research Products

• [Publications] W.Fukushima,Y.Kojima,M.NOte,and G.NAkagawara: "Cryopreservation of Hamster Pancreatic Islets Using a Fairly Rapid Cooling Rate." Transplantation Proceedings. 21. 2641-2643 (1989)
• [Publications] 中川原儀三,小島靖彦: "膵移植における最近の進歩" 外科診療. 31. 366-373 (1989)
• [Publications] 福島弥,小島靖彦,野手雅幸,中川原儀三: "ハムスタ-ラ島の教則凍結保存に関する研究 -第1報、急速凍結法損ラ島のviabilityについて" 低温医学. 15. 3-6 (1989)
• [Publications] 中川原儀三: "膵臓移植 -膵ランゲルハンス氏島移植-" いずみ. 36. 4-5 (1989)
• [Publications] 中川原儀三,小島靖彦: "膵臓移植の展望" 外科診療. 31. 1820-1839 (1989)
• [Publications] W.FUKUSHIMA,Y.KOJIMA,M.NOTE,AND G.NAKAGAWARA: "THE EFFECTS OF CRYOPRESERVATION ON PANCREATIC ISLET TRANSPLANTATION" Low Tem.Med.(1990)