1988 Fiscal Year Annual Research Report
顕微蛍光測光法による胃癌の核DNA測定-臨床病理学的所見と対比した検討-
Project/Area Number |
63570627
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
廣瀬 和郎 福井医科大学, 医学部, 助手 (00181199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野手 雅幸 福井医科大学, 医学部, 助手 (60189412)
中川原 儀三 福井医科大学, 医学部, 教授 (10019549)
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Keywords | 胃癌 / 顕微蛍光測光法 / DNA ploidy pattern / heteroplold / diploid / epidermalgrowth factor(EGF) |
Research Abstract |
これまで、私達は、胃癌の核DNA ploidy patternが胃癌の浸潤増殖形式と密接に関連することを明らかにしてきた。今年度は、細胞増殖因子であるEpidermal growth factor(EGF)の胃癌組織内の局在を酵素抗体法にて検索し、ploidy patternとの関連性を検討した。対照は胃癌手術例93例(分化型胃癌40例、未分化型胃癌53例)である。ploidy patternは、、stem cell lineにより、diploid(二倍体、D型)とheteroploid(異倍体、H型)に分けた。EGFの免疫組織学的局在はBiotin-Avidin法により検索した。第一抗体は、抗hEGFマウスモノクローナル抗体(湧永製薬)を用いた。 (成績)(1)ploidy patternは、分化型癌ではD型22例、H型18例、未分化型癌ではD型37例、H型16例に分けられた。 (2)組織型とEGF発現頻度:EGF陽性症例は、分化型癌では、早期癌6/20例(30%)、進行癌9/20例(45%)であり、未分化型癌では早期癌7/20例(35%)、進行癌15/33例(45%)であった。 (3)ploidy patternとEGF発現頻度:EGF陽性症例は、D型の癌では、早期癌11/28例(39.3%)、進行癌9/31例(29%)であり、H型の癌では、早期癌2/12例(16.7%)、進行癌15/22例(68.2%)であった。即ち、早期癌と進行癌のEGF発現頻度を比較すると、D型では両者に差異はなかったが、H型では進行癌で有意に高かった。また、進行癌では、H型の癌はD型に比べて有意にEGFの陽性率が高かった。特に、分化型癌では、H型の進行癌(6/8例、75%)は、H型の早期癌(2/10例、20%)に比べ有意にEGF陽性率が高く、また、D型の進行癌(3/14例、25%)に比べEGF陽性率が高かった。 (結論)(1)heteroploidの癌では、進行癌は早期癌に比べEGFの陽性率が高く、癌の進展とともに増殖能が増強することが示唆された。 (2)進行癌、特に分化型癌では、heteroploidの癌は、diploidの癌に比べEGFの陽性率が高く、増殖能が大きいことが示唆された。今後は、さらに、EGFのレセプターの発現との関係についても検索して行きたい。
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[Publications] 廣瀬和郎: 日本外科学会雑誌 (臨時増刊号). 89. 439 (1988)
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[Publications] 廣瀬和郎: 日本癌学会総会記事. 356 (1988)
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[Publications] 中川原儀三: 60. 1989. (243-244)