1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570628
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
松本 由朗 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (20159156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 明宏 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80208313)
藤井 秀樹 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30181316)
須田 耕一 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (80090596)
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Research Abstract |
先天性総胆管拡張症(拡張症)ならびに膵胆管合流異常(合流異常)に併存する胆道癌の頻度が極めて高いことが判り癌発生の立場から注目されてきた。研究者らは胆道癌発生を胆道形成異常の関係を胆管上皮の細胞動態の面から解析してきた胆嚢癌と合流異常の関係について野口は摘出胆嚢を直ちに3気圧炭酸ガス中に浸しBrdUを取込ませた後抗BrdUノモクローナル抗体に反応させてS期細胞を染色その標識率(L.I.)を算出した。正常例は0.31±0.34%合流異常併存胆嚢粘膜上皮では3.57±4.56%、胆道癌の癌部では6.50±3.38%で合流異常併存胆嚢粘膜上皮のS期細胞数が癌に近い値であり、その細胞回転が極めて亢進していることが示唆される結果を得た。この研究に続いて対象を肝内胆管上皮の細胞動態の観察にも広げた。胆管では胆嚢と異なり胆管上皮は剥脱している症例が大部分のため、invitroでは十分の材料が得られないところから肝葉切除例に対し切除予定肝臓の領域支配動脈以外の脈管遮断を行った後に支配動脈よりBrdUを25mg/kgの割合で注入し肝切除施行後直ちにアルコールに固定を行ない胆嚢と同様の方法で肝内胆管上皮のS期細胞を染色しL.I.を算出した。本年度の対象症例は、1)拡張症8例、2)原発生肝内結石症12例、3)拡張症に肝内胆管併存1例、4)原発生肝内結石症に肝内胆管癌の併存4例、5)拡張症に伴なわない肝内胆管末梢の胆管細胞癌2例そして、6)肝細胞癌症例で正常肝内胆管6例である。原発生肝内結石症に肝内胆管癌併存例では癌部のL.I.は6.6%癌周囲の胆管粘膜上皮8.8%と癌部異常に細胞回転の亢進を認めた。また肝内胆管を併存しない肝内結石でも結石充満部の一部の胆管上皮のL.I.は10%と極めて高い値を示した。しかし結石を伴なわない拡張症の肝内胆管上皮のL.I.は1.6%と正常例よりはやや高いものの、低値を示した。したがって肝内結石に併存する肝内胆管癌の発生には結石の影響は極めて大きいことが示唆される結果を得た。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 野口明宏: 日本消化器外科学会雑誌. 21. 210-220 (1988)
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[Publications] 松永忠東,松本由朗,菅原克彦,須田耕一 他: 肝臓. 30. (1989)
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[Publications] Suda K,Matsumoto Y,et al.: Sarg Pathal. 1. 65-69 (1988)
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[Publications] 須田耕一,松本由朗 他: 胆道. 2. 138-142 (1988)
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[Publications] 須田耕一,松本由朗 他: 胆と膵. 10. (1989)
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[Publications] 松本由朗,須田耕一 他: 山梨医科大学雑誌. 4. (1989)
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[Publications] 菅原光彦,松本由朗 他: "厚生省特定疾患肝内結石症調査研究班 昭和63年度研究報告書" 小沢和恵,