核DNA量からみたヒト胃癌および大腸癌の悪性度に関する研究

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63570635
• Research Institution: Tottori University School
• Principal Investigator: 木村 修 鳥取大学, 医学部, 助手 (20169923)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 木村 章彦 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (80186311) ; 西土井 英昭 鳥取大学, 医学部, 助手 (30172670)
• Keywords: 核DNA量 / 胃癌 / 大腸癌 / 術前診断 / Ploidy pattern / フロ-サイトメ-タ-

Research Abstract

目的:昭和63年度の本研究においては、癌細胞の核DNA量が胃癌、大腸癌における生物学的悪性度の一指標となりうることを報告した。そこで、平成元年度の研究においては、個々の癌腫における核DNA量が術前の内視鏡生検標本を用いて正確に測定できるかどうかを検討した。
方法:胃癌12例、大腸癌6例において、術前の内視鏡生検から得られた直径1mm大の標本(1個)と無作為に切除標本の一部から採取した癌腫の核DNA量を比較検討した。核DNA量の測定はフロ-サイトメ-タ-を用いて10000個の細胞核につき行われ、単一のGO Gl peak示すものをDiploidy、Diploid peak以外に明らかなpeakを示すものをAneuploidyと判明した。
結果:生検標本1個からの採取細胞個数が10000個にみたないものを認められたが、全例、Ploidy patternの判定は可能であった。胃癌症例では、生検標本を切除標本における癌腫のPloidy patternは全例で一致し、Diploidyが7例、Aneuploidyが5例に認められた。しかし、大腸癌症例では、6例中1例に両者におけるPloidy patternの不一致が認められ、生検標本はAneuploidy、切除標本はDiploidyを示した。また、その他の大腸癌症例では、Diploidyが4例、Aneuploidyが1例に認められた。
結論:胃癌および大腸癌症例において、生検標本と切除標本における癌腫の核DNA量を比較検討した結果、両者のPloidy patternは極めてよく一致しており、術前の生検標本を用いて癌腫のPloidy patternを判定することは多くの場合可能であると考えられた。しかし、両者のPloidy patternが一致しないものも認められ、また、同一癌巣内であっても癌腫の病理組織学的所見が部位によって異なる場合もあり、癌腫表層からの1個の生検標本によってそのその癌腫全体のPloidy patternを判定できるかどうかに関しては、今後、標本の採取部位による核DNA量の差異(Heterogeneity)をも検討する必要があると考える。

Research Products

• [Publications] 木村修: "胃癌の生物学的特性の定量化における核DNA量の意義" 日本外科学会雑誌. 90(9). 1564-1567 (1989)
• [Publications] 木村修: "DNA ploidy in gastric cancer with metastasis to the liver(Accepted)" Journal of Surgical Oncology.
• [Publications] 木村修: "早期胃癌再発症例における腫瘍細胞核DNAの量の検討" 日本消化器外科学会雑誌.
• [Publications] 広岡保明: "Effects of hyperthermia on the cell cycle and morphology of cancer cell" Hyperthermic Oncology in Japan'87,Imai Print.& Pub.Co.,Ltd.Yonago. 215-216 (1988)