1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570636
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
中村 輝久 島根医科大学, 医学部, 教授 (10038656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 俊一 島根医科大学, 医学部, 助手 (70192995)
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Keywords | 食道癌 / 扁平上皮癌 / エストロゲンレセプター / エストラジオール / ヌードマウス |
Research Abstract |
1.食道癌切除標本の性ホルモンレセプターを、癌部25例(転移リンパ節も含む)、非癌部20例で測定した結果、癌部ではAndrogen Receptor(以下AR)は全例陰、Estrogen Receptor(以下ER)は1例のみ陽性であった。非癌部ではARは4例、ERは5例に陽性であった。癌はヌードマウスに移植された。 2.ヌードマウス可移植食道癌株は12例であった。移植株の性ホルモンレセプターの内分けは、AR(+)、ER(+)2株、AR(+)、ER(-)1株、AR(-)、ER(+)5株、AR(-)、ER(-)4株であった。 3.食道癌増殖に及ぼす性ホルモンの影響をみるために、 (1)AR(-)、ER(+)株を雌雄のヌードマウスに移植したところ、雌において癌の増殖が抑制された。対照としたAR(-)、ER(-)株では増殖に雌雄差は認められなかった。 (2)AR(-)、ER(+)株を去勢した雌に移植したところ、無処置雌に比べ腫瘍増殖が促進される傾向にあった。 (3)さらに、この株を雌に移植したものに生理的投与量に近いエストラジオールを投与したところ、非投与群よりも腫瘍増殖が抑制された。 以上より、腫瘍増殖抑制効果は性ホルモンレセプターを介する女性ホルモンの作用によると考えられた。 (4)この効果はまた、継代中にAR(-)、ER(-)からAR(-)、ER(+)に変化した他株においても同じように認められた。 (5)AR(+)を、雌雄マウスおよび去勢雄マウスに移植して腫瘍の増殖速度を検討したところ、雄では雌よりも増殖が促進され、去勢雄マウスでは増殖が抑制される傾向にあった。
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[Publications] 内海康生 他: 外科治療. 57. 339-340 (1987)
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[Publications] Yasuo Utsumi,et al.: Cancer.
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[Publications] Yasuo Utsumi,et al.: Diseases of the Esophagus.