1989 Fiscal Year Annual Research Report
Liposome-Adriamycinによる転移性肝癌の治療と防止;特に経門脈的投与による基礎的臨床的検討
Project/Area Number |
63570646
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
由良 二郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90079997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 勇 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (20157506)
四ツ柳 智久 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (40080189)
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Keywords | Liposome-Adriamycin / 経門脈投与 / 転移性肝癌 / 組織cytotoxicity |
Research Abstract |
Liposome-Adriamycin(L-ADM)は、経門脈的に投与されると、肝及び脾に、free ADMを投与した時よりも多くのADMが集積することは既に報告した。投与されたL-ADMは、肝及び脾のmonocyte-macrophage systemになんらかの影響を及ぼしていると考えられる。今回は、L-ADM及びADMの経門脈投与の各組織のcytotoxicity及び肝のkupffer cellへの影響について検討を行った。組織のcytotoxicityは、肝のnonparenchmal cell(NPC)と脾細胞をeffector cellとし、YAC-1をtarget cellとした^<51>Crrelease assayで、肝のkupffer cellはP-815をtarget cellとした^<51>Crrelease assayで比較検討を行った。脾細胞のcytotoxicityはL-ADM投与群とADM投与群の両群ともに低下を示したが、投与は1週間後にはcontrol群と同等に回復を認めた。また、L-ADM投与群はADM投与群により高値を示したが、有意差は認められなかった。肝のNPCのcytotoxicityにおいても、投与後には低下を示したが、脾と同様に1週後にはcontrol群と同等に回復を示した。また、肝においてもL-ADM投与群はADM投与ぐんよりも高値を示したが、有意差は認められなかった。kupffer cellへの影響に関する検討では、L-ADM投与群とADM投与群とともに高い活性を示したが、両群に有意差は認められなかった。組織学的な検討においては、肝には特に異常な所見は認めず、脾において軽度のatiophicchangeを両群に認めたのみであった。以上より、L-ADMはfree ADMよりmonocyle-mactophage systemに対して有利に作用しているようである。liposomeによるADMの肝のクリアランスの増加、macrophage aotivatorとしての作用により、癌の肝転移をより効果的に抑制すると考えられた。
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