1990 Fiscal Year Annual Research Report
組織分析、細胞培養などによる胃癌のコラ-ゲン生成および分解能の検討
Project/Area Number |
63570648
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉野 肇一 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10101982)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 敦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30216056)
松井 英男 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50209483)
會澤 健一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20202442)
深瀬 達 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90199159)
大谷 吉秀 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20168983)
|
Keywords | 癌の進展 / コラ-ゲン / 蛋白分解酵素 / TIMP |
Research Abstract |
1.胃癌のコラ-ゲン生成能について [方法・材料]コラ-ゲン合成に関する律速酸素であるprolylーhydroxylase(HP)の活性値を、臨床材料の胃癌切除胃を用いて、Huttonらの方法(Anal.Biochem.16:384、1966)で測定した。 [成績]HPの活性は癌中心部および癌先進部で、癌隣接非癌胃粘膜および遠隔非癌胃粘膜よりも高値を示した。癌先進部PH活性は早期癌、高分化型腺癌で低く、反対に高かったのは漿膜浸潤、リンパ節転移、腹膜転移、肝転移などが著明であった例であった。 2.胃癌のコラ-ゲン分解能について [方法・材料]各種癌化胃癌細胞(腺扁平上皮癌のMKNーI;高分化型腺癌のMKNー7、28、74;低分化型腺癌のMKNー45、OKAJIMA;印環細胞癌のKATOーIII)と各種株化線維芽細胞(ヒト胎児肺由来のIMAー90、われわれの樹立した成立した成人皮膚由来の2株)を混合培養し、その形態像を位相差顕微鏡で観察し、培養上清中のコラ-ゲン分解酵素(interstitial collagenase Iase)およびtissue inhitor of metalloproteinase (TIMP)の活性をゼラチン加SDSーポリアクルアミドゲルを用いた電気泳動法で検討した。 [成績]形態学的検討によると、高分化型腺癌との混合培養では線維芽細胞に著明な退縮性の変化が認められたのに対して、低分化型腺癌ではそのような現象は認められなかった。Iase活性は高分化型腺癌との混合培積上清で著明で、低分化型腺癌では活性は認められるものの一定の傾向を示さず、印環細胞癌では低かった。TIMP活性は分化型腺癌との混合培養上清では低く、印環細胞癌では高く、低分化型腺癌ではそれらの中間であった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 窪地 淳: "組織内IV型コラゲナ-ゼ活性値測定法の確立とそれによる胃・肺癌組織内同酵素活性に関する研究ーI型コラゲナ-ゼ活性および病理組織学的所見と対比してー" 日本外科学会雑誌. 91. 174-183 (1990)
-
[Publications] Yoshihide Otami: "The Collagenase Actiuities,Interstitial collagenase and Type IV Collagenase,in Human Stomach cancer:with Special Reference to Local Spreading and Lymph Node Metatasis" Keio J.Med.39. 159-167 (1990)
-
[Publications] 片井 均: "胃癌組織中のコラ-ゲン合成酵素prolylhydroxylase 活性値の測定とその意義に関する研究" 慶應医学. 68. 113-125 (1991)
-
[Publications] 吉野 肇一: "胃癌の進展と局所コラゲナ-ゼ ー基底膜の分解を中心にー" 消化器癌. 1. (1991)
-
[Publications] 吉野 肇一: "胃癌転移のメカニズム ー胃癌組織内の基底膜分解コラゲナ-ゼからの検討ー" 日本消化器外科学会雑誌. 24. (1991)
-
[Publications] 吉野 肇一: "胃癌のリンパ節転移と胃癌組織内基底膜分解コラゲナ-ゼ活性" 日本癌治寮学会誌. 26. (1991)