1988 Fiscal Year Annual Research Report
心移植を前程とした人工心臓の臨床使用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63570656
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仁田 新一 東北大学, 抗酸 菌病研究所, 助教授 (90101138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関野 美仁 東北大学, 医学部 附属病院, 助手 (30206635)
鈴木 康之 東北大学, 医学部, 助教授 (50004924)
毛利 平 東北大学, 医学部, 教授 (60108503)
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Keywords | 心移植 / 補助人工心臓 / 完全人工心臓 / ブリッジ使用 / 腎交感神経活動 / 人 工心臓の自動制御システム |
Research Abstract |
今年度は主に心臓移植へのブリッジ使用に対する補助人工心臓 (VAD ) および完全人工心臓 (TAH) システムの確立とその至適駆動を行なうためのシス テムの自動化を目的としたコンピュータシステムの開発について研究した。開発した VADシステムは空気圧駆動サック型で送脱血カニューレとポンプ本体およびそれら を結合する人工弁内蔵コネクターより構成され、それらが各々独立したいわゆるパー ツ化を実現した。このパーツ化は長時間使用時の部分適な交換を可能にした。人工弁 は自作のボール弁を用いて、VADシステムの完全国産化を実現した。このVADシ ステムを7頭の成山羊に応用し、全例予定した30日間を血栓形成なしで経過した。 さらにVADおよびTAHシステムの至適駆動を目的とし、自動化を計るために、パ ーソナルコンピュータを用いた心臓駆動用ディジタル制御システムを試作した。この システムはブリッジ使用中の種々の循環動態に自動的に対応するための適応制御機構 、管理機能、解析機能を有する。またこれらの機能は互いに並列に動作するように設 計してあるため、ソフトウェアへは多重割り込みが可能である。このシステムを用い た成山羊の急性実験により、抹消血管抵抗の変動 (昇圧剤、降圧剤の投与による) と VAD駆動を自然心臓の拡張期および収縮期のどの位相にも駆動する方法 (CP:C ounter-pulsationおよびCOP:Co-pulsation) によ り、薬剤を用いないで左心室に対する流出路抵抗を変化させた循環動態に対する安定 した定値流量の自動制御を行った。その結果、大巾な各種循環動態の変化に対しても 充分に数心拍で追従し得るシステムであると評価された。またこれらの循環動態の変 動時に腎機能への直接的な支配に関与すると思われる腎交感神経活動を直接測定し、 VADによる大動脈圧の上昇にはインパルス発生を抑圧する方向に働くことが証明さ れ、不全腎への対応の一つの指標になり得ることがわかった。
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