1989 Fiscal Year Annual Research Report
カテコラミンレセプタ-及びANPからみた開心術時心筋障害
Project/Area Number |
63570657
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
安斉 徹男 群馬大学, 医学部, 助教授 (80008292)
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Keywords | 心筋障害 / 心筋保護 / 心室細動下手術 / ベ-タ受容体 / ANP / 冷却心停止下手術 |
Research Abstract |
目的:開心術中の心筋保護方として、冷却心停止法と心室動法が代表的であり、両方法施行中におけるβ受容体及びナトリウム利尿ペプタイド(ANP)の変動を見ることである。本年度は主として、長時間細動例の臨床及び実験例において、β受容体の動態と、心筋におけるANPの動きを光顕並びに電顕的に追求することを主目的とした。 方法:臨床例で60分以上に及ぶ心室細動下手術例は稀であるが、それを補うべく犬を用いて人工心肺下90分間の心室細動例を作成した。また、ANPの心筋形態学的研究においては、免疫組織、細胞化学的方法により光顕、電顕的に観察した。 結果:1)β受容体;45分での常温電気的心室細動下において低下を見ることは前年度に述べたところである。90分の症例においては逆に増加を見たことから、動物実験を試みた。その結果30分では低下を見るが90分では増加を示した。一方、冷却心停止例では2時間を越す例でも増加傾向は見られていなかった。2)ANP;開心術中の冠静脈洞内濃度の変動については、先に報告したところであり省略する。電気的細動例における心筋のANPの形態学的検索では、光顕レベルではANP陽性物質の染色性が低下していることが認められた。電顕的観察では分泌顆粒の減少が細動、冷却心停止の両群に見られた。 結論:1)心室細動下でβ受容体は60分までは明らかに低下するが、90分ではむしろ増加を来す可能性が示唆された。2)心房筋内ANPの心室細動下での減少は、冠静脈洞内ANP濃度の経時的変化からも知られていたが、形態学的にも証明された。
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