1989 Fiscal Year Annual Research Report
晩発生脳放射線壊死の病態と対策に関する臨床病理学的研究
Project/Area Number |
63570671
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉井 与志彦 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50110507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
大原 潔 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10034125)
小形 岳三郎 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60009115)
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Keywords | 脳腫瘍 / 放射線障害 / 病理組織 / 照射線量 / Gd-MRI / 年齢 / 病態解析 / 治療法 |
Research Abstract |
〔目的〕脳放射線壊死の発生機序について、1.照射線量と病理組織所見との対応、2.本疾患の早期診断の可能性、を検討し、本疾患の予防、治療法の確立を目指す。〔方法〕1.に関しては、照射脳腫瘍24例(64才以上の高齢者7例、65才未満の非高齢者17例)と非脳腫瘍非脳照射9例(高齢者4例、非高齢者5例)について剖検脳大切片をCTに対応して作成し、脳白質の各部位を無作意に計50ヶ所選び病理組織学的に検討した。2.に関しては、脳放射線壊死3例のGd-MRIと組織所見とを対応させて検討した。〔結果〕1.非高齢者の脳腫瘍脳に対する放射線効果は、血管(毛細血管を含む)の硝子様変化、脱髄変化等が著しく強く、また高齢者の場合には低い照射線量の部位でも不可逆的な血管壊死を起こしていた。2.Gd-MRIに於いて、脳放射線壊死の特徴的な画像所見は境界明瞭で均一に強く増強され、その組織所見は血管のfibrinoid necrosisや硝子様変化が強かった。しかし、一方ではviable tumor tissueが放射線壊死組織と混在している場合にはその鑑別は困難であった。〔結論〕脳放射線障害の病態には、(1)毛細血管を含む細小動脈の硝子様変化及びそれに伴う脱髄変化と(2)不可逆性の血管壊死変化とそれに伴う凝固壊死変化とがあり、前者は非高齢者、後者は高齢者に比較的低い照射線量でも起こし得る。Gd-MRI法では、後者の画像変化は境界明瞭な増強域として診断されるが、前者については、T_2強調画像で高信号域を呈するが、これは本疾患に特徴的な所見ではなかった。〔今後の課題〕(1)Gd-MRI-Stereotactic biopsy法の開発応用、(2)脳放射線障害に対する非観血的治療法としてのstereo-urokinase-osmotherapyによるpulse療法を確立する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高野晋吾: "慢性期脳放射線障害のCT像、組織像、及び照射線量との対比" CT研究. 11. 75-81 (1989)
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[Publications] 吉井与志彦: "脳腫瘍脳と放射線治療-正常脳との加齢現象との比較及び組織変化の定量的検討-" 日放腫会誌. 1. 261-271 (1989)
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[Publications] 小松洋治: "脳腫瘍病例に於けるGd-DTPA増強MRI画像の増強部と病理組織所見との対応" CT研究. (1990)