1990 Fiscal Year Annual Research Report
晩発性放射線壊死の病態と対策に関する臨床病理学的研究
Project/Area Number |
63570671
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉井 与志彦 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50110507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 潔 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10034125)
小形 岳三郎 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60009115)
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Keywords | 脳腫瘍 / 放射線障害 / 組織学的変化 / 画像所見 / 病態解析 / 治療法 |
Research Abstract |
【目的】脳放射線壊死のこれまでの研究成果から、その発生には放射線照射線量と脳の脆弱化が大きく関与している所見が得られた。平成2年度は組織学的検索と画像所見を対比させ晩発性脳放射線壊死の病態から治療的対策について検討した。【方法】神経膠腫摘出術後に放射線治療をうけ、その後照射野内にCT上低吸収域及び増強域の出現がみられた4例につき、(1)その期間と画像変化との関係、(2)線量分布と組織変化画像変化との対応、(3)増強域、低吸収域を呈した臨床治験例につき検討した。【結果】(1)血管壊死、血管壁硝子様変化、脱髄変化は、非照射野では照射野に比べてほとんどみられないが、有意に少なかった。(2)増強域では低吸収域に比べてそれら変化は有意に高かった。(3)CTで増強域を呈した症例には、mass effectを持つ場合と持たない場合があり、前者は外科的摘出術、後者はsteroid-osmotherapy、ウロキナーゼ療法等の内科的治療法が有効であった。【考察】脳放射線壊死出現までの変化は、初めに血管の硝子様化、それに白質の軽度の脱髄化が加わる。この画像は低吸収域を示す。さらに血管変化が進行して不可逆的な血管壊死をきたしたり、変化した血管の数も増すために脱髄も高度となる。その上、脳血液関門(BBB)の破壊も強度となり、画像で増強域を呈すものと推測された。一方、mass effectを持たない増強域の場合には、血管壊死を起こしている血管の数が少なく、脳実質の凝固壊死巣も小さく、硝子様血管変化が中心で、それに静脈還流障害、BBBの機能障害が加わって、増強効果を示すと考えられた。画像変化は組織学的変化による病期を示し病期によって治療法が異なることが示唆された。【今後の研究課題】(1)Gd-MRI stereotaxy術はまだ脳固定装置を改良すべき点がある。 (2) ^<20>Tl-SPECTによるin vivo診断を検討中である。
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[Publications] 吉井 与志彦: "耐容線量の再評価 a.神経系 線量と組織学的変化との対応を中心として" 癌の臨床. 36. 2289-2298 (1990)
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[Publications] YoshihiKo Yoshii: "Normal brain damage after radiotherapy of brain tumors" Clinical Oncology. in press. (1991)