1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570672
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡 信男 千葉大学, 医学部脳神経外科, 助手 (40114251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 武 自動車事故対策センター, 附属千葉療護センター, 院長 (50009560)
大里 克信 千葉大学, 医学部脳神経外科, 助手 (90125906)
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Keywords | 磁力線 / 神経刺激 / 経皮的大脳皮質刺激 |
Research Abstract |
平成元年度は正常被検者により磁気刺激の基本的性質と生体に対する影響について研究した。磁気刺激により経皮的に大脳皮質を刺激する際の問題点として、刺激コイルが大きいため大脳皮質の限局した部分に刺激を加えることが困難であることが指摘されている。また、繰り返し刺激をする際のコイルの発熱も解決すべき問題である。本年度は、どの程度の大きさまでコイルを小型化できるかを中心に検討をした。コイルの構造は絶縁銅線を2層構造の平面コイルとして巻いて、コイル全体を絶縁樹脂の中に包埋したもので、人体に対して使用しても十分に安全な絶縁性と、放熱性を備えている。種々の大きさのコイルを試作してその性質を検討した。生体内に生ずる渦電流は磁力線の強度の勾配が最も急なところで最大となる。この部位はコイルの巻線内縁に相当した。種々の直径のコイルで正常被検者を用い、経皮的大脳皮質刺激を試みたが、大脳皮質を刺激可能であった最小のコイルは外径65mm内径35mmであった。この条件は刺激装置本体の電圧やコンデンサ-の容量を変更すれば、更に小さくなる可能性もあり、今後検討して行きたい。被検者による経皮的大脳皮質刺激では全ての被検者より、顔面筋、母指球筋の筋電図は記録可能であったが、下肢筋の誘発筋電図は一部の被検者で誘発不可能であった。誘発された筋電図の振幅は不安定で、個体間のばらつきも大きかったが、その潜時は比較的一定していて、広範囲の刺激強度に対しても一定の値を取る傾向にあった。よって誘発筋電図の潜時が臨床応用をする際の有用なパラメタ-になり得ると考えられた。被検者8名のうち2名が軽い頭痛を短時間訴えたが、その他の症状や神経学的異常は見られなかった。現時点において磁気による神経刺激法は尚改良すべき問題点を多く持っているが、今までに重大な副作用も見られず、今後も臨床応用を目指して研究を進めることが可能であるとの印象を得た。
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