1990 Fiscal Year Annual Research Report
虚血脳における組織内酸素濃度およびモトアミン代謝の同時測定(インビボボルタンメトリ-法)
Project/Area Number |
63570678
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渋谷 正人 名古屋大学, 医学部, 講師 (10135345)
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Keywords | 脳虚血 / 酸素濃度 / 脳循環 / モノアミン / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
我々はインビボボルタメトリ-の技術を用いて虚血脳局所における神経伝達物質代謝を組織内酸素濃度との関連において調べてきた。 この過程で組織内酸素濃度の変化が、経特的にしかも良好な時間応答性で計測可能である事を確認した。しかし一方で、以下の如き様々な問題点が明らかとなった。 1.組織内酸素とモノアミンの、同時計測はできない。酸素の測定には電極をー400mV程度の定電位に保たねばならないが、モノアミンの測定は、この同条件下では達成できない。またモノアミン計測のために近傍に別の電極をおいた場合、互いの電位の影響を無視し得ず、計測値の信頼性が保証できない。複合電極とした場合も事情は同じである。つまり「同時に」計測する事は困難である。しかし「同一部位での」計測は、定常状態が比較的保たれていれば、可能であると考えられるので、今後この点に留意して研究をすすめる予定である。 2.組織内酸素の値は、測定の部位により、たとえそれがごく近接していても大きく異なる。これは電極特性の均一性の問題のほか、電極による組織破壊あるいは圧迫の程度に差がある事、また電極と近傍脈管との距離に差がある事等によると考えられる。このことから組織の部位別の酸素濃度の比較にはあまり意味がないと思われた。 3.組織内酸素の計測時に電極に印加する電圧が組織代謝に影響する可能性が考えられるので、モノアミンの計測との間には適当な時間をおく必要があると考えられる。 4.組織内酸素の計測時には、電極近傍でのpHが上昇すると考えられるので、これが組織代謝に及ぼす影響を考えたモノアミン計測との間に適当な時間をおく必要があると考えられる。 今後このような点に配慮しつつさらに実験を重ねていく予定である。
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