1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト下垂体中葉近傍組織及びその疾患の病理形態学的研究
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63570680
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白瀧 邦雄 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (20112089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉木 紀彦 神戸大学, 医学部, 助教授 (10030941)
松本 悟 神戸大学, 医学部, 教授 (10030850)
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Keywords | ヒト / 下垂体中葉 / 中葉嚢胞群 / Rathke's cleft cyst / 頭蓋咽頭腫 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
すでに、白瀧はヒト下垂体中葉における中葉嚢胞群と管状腺の電顕像を最初に報告している。中葉嚢胞群の基本構造は管腔側上皮(線毛細胞や粘液細胞)と基底側上皮(下垂体実質細胞や扁平上皮様細胞)からなるが、これはRathke's cleft cyst(RCCと略)の発生に関連して、その原基たる構造の最初の報告である。管状腺の電顕像は典型的なものと、むしろ退縮時のそれとの両方で観察され、前者でそれまで報告のない筋上皮細胞の存在も確認されている。今年度、中葉嚢胞群には嚢胞壁内に腺性下垂体実質細胞を含むものと含まないものとがあり、後者では、pure oncocyteを含むことがある点から、導管としての性格を持つ嚢胞であろうと推測された。更に、不規則な管腔を京成する下垂体実質細胞を含まない細胞集団が認められ、未発達あるいは不完全な管状腺を思わせる構造と考えられた(irregular glandーlike structure)。以上から、中葉嚢胞群を電顕的に、1)Rathkes cleft又はRathke's cyst、2)duct又はductol cyst、3)terminal portion of tubular gland、及び4)irregular glandlike structureに分け、このような中葉(後葉も含む)における一連の樹枝状の構造を「下垂体中葉・管状システム」と名付けた。 一方、RCCの名称や発生部位にとらわれずに、組織学的に立方〜円柱上皮(時に線毛細胞や粘液細胞が混在)を含むトルコ鞍近傍嚢胞性病変15例を集計し、その臨床病理像をまとめた。この中にはトルコ鞍上部に発生し、頭蓋咽頭腫の要素も含んだ症例があり、RCCと頭蓋咽頭腫との関係が問題となった。しかし、現在の所、RCCと頭蓋咽頭腫とを区別する明白な根拠に乏しく、また15例全例をRCC又は頭蓋咽頭腫の範畤で考える根拠もなく、現在の所、これらをトルコ鞍近傍・立方〜円柱上皮性嚢胞性病変として取り扱う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kunio Shirataki,Noriko Sato,Hiromi Sato,Satoshi Matsumoto: "Parasellar cuboidalーColumnar epithelial cystic lesions"
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[Publications] Kunio Shirataki,Satoshi Matsumoto: "‘Cholesterol granulomatous reaction'in the sellar and juxtaーsellor lesions"