1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570686
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岩佐 英明 自治医科大学, 脳神経外科学, 教授 (40049060)
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Keywords | 微細血管吻合 / 一針吻合法 / 人工血管 / 動物実験 / 犬 |
Research Abstract |
1.材料と方法:10ー13kg雑種成犬の頸動脈を用い、人工血管はFPU(セグメント化ポリウレタン)、TMP(某社製人工血管)、LCCP(乳酸カプロラクトン共重合体)及び同一個体静脈グラフト(VG)を使い以下の実験を行った。人工血管の両端は円錐台状のツバを施したH型形状とし長さ2cm、内径2mm、外径3mmとした。静脈グラフトは長さ4cmとした。1)ネンブタール麻酔下に頸動脈を露出。中央で切断。2)H型人工血管は一針吻合法を用い、他の人工血管及び静脈片は手縫い吻合を行った。3)6例で吻合部心臓側に電磁血流計(MFV)のプローベを装着、3例にて経時的に血流量を測定した。 2.成果:1)FPU6例、TMP3例、LCCP4例、VG3例で吻合を行い、術後1〜30日後に血管撮影又は手術で吻合部の開存を確認した。VGの3例全例で吻合部の開存が、術後7〜14日の間に確認された。2)MFVは、8例に用いられ、内5例にて術前術直後のみに、又残り(全てVG)においては経時的に14日後まで血流量測定が行われた。術前値は60〜150ml/分、術直後は0〜80ml/分を示し、特にVG例では術前100〜150ml/分、術直後0〜20ml/分を示していても術後2週間で80〜100ml/分を示した。3)吻合時間は一針吻合法では24〜30分と比較的短時間であったが、手縫い法では53〜80分と長時間を要した。 3.結論及び今後の計画:1)同種静脈グラフトでは全例(3/3)において吻合後開存が認められた。2)今回の人工血管では全例不成功であった。3)術後経時的に吻合部の開存を知るためには埋め込み式電磁血流計が有効であった。4)手縫い吻合に比し一針吻合法では迅速な手術が行えた。以上より、工学部系研究員の強力な援助のもとに開存率の良い新しい人工血管の開発を行い、本研究を継続して行きたい。
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