1990 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経細胞の長期培養・維持の検討および神経成長因子物質の検索
Project/Area Number |
63570688
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷 諭 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 助手 (10147332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 宗次 自治医科大学, 脳神経外科, 助教授 (80110922)
中村 紀夫 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 教授 (30056494)
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Keywords | 中枢神経、 / 細胞組織培養、 / 神経成長因子、 / ニュ-ロフィラメント、 |
Research Abstract |
鶏胎児脳を材料とした中枢神経培養を引続き行った。今回は側頭葉を含んだ大脳と小脳だけを材料とした神経培養を行った。すなわち胎児脳を機械的およびtrypsin酵素処理による細分化細胞群(十数個の集まり)を組識培養する方法と、酵素処理後50umのメッシュによる細胞単位培養を行いその形態を比較した。結果は細胞群として培養した方がきれいなネットワ-クを作った。細胞単位での培養では小さなネットワ-クを形成したがそれよりも一個の神経細胞として突起を延ばしている細胞が目だち、各々細胞間のつながりはよくなかった。しかし神経細胞単位での形態をみるにはこの方法が優れていた。なおこれらの細胞はneurofilament(NF)にて神経細胞であることを確認している。次に前年度の結果として68K NFは鶏の中枢神経細胞では細胞体に存在し、160K NFは細胞体、樹状突起および軸索の両方に存在していたが、さらにこのことを証明するためalkarineーphosphataseおよびCa依存性protease酵素にてNFが消化されNFが移動輸送されることを組織化学的に証明することを試みた。しかし生化学的にはIshizakiらによってNFが消化されることは明かにされているが、今回の試みでは酵素処理後も細胞体および軸索の両方に染色された。これは一部の160K NFが消化されても、少しでもNFが残っていれば染色されてしまうためなのか、実験の条件の問題なのか結論は出せなかった。しかしNFが軸索上を移動する可能性やNFの働きを知る上で重要であり実験を進めて行きたい。次に中枢神経の長期培養を引き続き試みた。大脳の皮質を材料にした神経培養では側頭葉成分を含めた方がネットワ-ク形成は良好であったが、小脳を材料とした神経培養では側頭葉成分が存在しなくても大きな影響はなかった。しかし共に3週間前後にて神経細胞の脱落をみており、現在のところ側頭葉成分は神経細胞活性には必要条件であるが長期神経細胞維持の全てではないようである。現在ミリセルを用いた神経培養中であり今後もいろいろ試みて行きたい。
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