1988 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧自然発症ラットにおける大腿骨々頭壊死の病理学的研究
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63570702
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平野 徹 長崎大学, 医学部, 助手 (00108284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 勝郎 長崎大学, 医学部, 教授 (60039542)
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Keywords | 高血圧自然発症ラット / 大腿骨々頭 / 骨頭扁平化 / 骨化障害 / 無腐性壊死 / ペルテス病類似病変 |
Research Abstract |
高血圧自然発症ラット(以下SHR)の大腿骨々頭には、骨化障害とペルテス病類似の無腐性壊死が高頻度に発症する。本研究ではSHR大腿骨々頭病変の病態解明の一環として、骨頭の発育過程をX線学的に観察し、病理学的には無腐性壊死の出現時期やその修復過程を検索した。 実験には生後6、9、12、15、20および40週の雄SHR36匹と対照として同週の雄京都ウイスターラット(以下WKY)36匹を用いた。 各週群それぞれ6匹ずつエーテル麻酔下に両側大腿骨を摘出し、軟X線撮影を行い、骨頭の骨化過程を観察した。さらに組織学的観察のため、大腿骨近位部を脱灰後パラフィン包埋し、前額面のHE染色標本を作製した。これら染色標本を用いて、大腿骨々頭の無腐性壊死の有無や、その修復反応を観察し、修復過程の推移を調べた。 その結果、新たに以下の知見が得られた。 1 WKYでは生後9週より骨頭の骨化が始まり、15週でほぼ完了するのに対して、SHRでは約60%の骨頭で骨化が遅延しており、また骨頭の扁平化や頸部短縮などの変化を伴っていた。 2 組織学的に骨頭の無腐性壊死は、生後9週から15週の間に発生していた。発生頻度はWKYが5.6%だったのに対して、SHRでは27.8%と高く、特に生後15週では6匹12骨頭中8骨頭も壊死化していた。 3 この壊死骨頭には、まず骨髄腔に肉芽組織が侵入し、壊死骨梁は類骨添加により修復され、生後40週ではほぼ完全に治癒していた。 以上、SHRにおける大腿骨々頭壊死では、骨頭の変形や骨化の遅延を伴っていることから、骨頭の骨端軟骨や成長軟骨板の異常が壊死発生に深く関与していると考えられた。この点の解明をさらに進めることは、ペルテス病の病態解明につながることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Toru Hirano.: Acta Orthopaedica Scandinavica.59. 530-535 (1988)
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[Publications] Toru Hirano.: Acta Medica Nagasakiensia.33. 240-244 (1988)
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[Publications] Katsuro Iwasaki.: Journal of Japanese Orthopaedic Assiciation.62. 1003-1010 (1988)
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[Publications] 平野徹: 中部日本整形外科炎害外科学会誌. 31. 1937-1939 (1988)