1988 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性肺血管収縮反応に対する各種血管拡張薬の影響の検討
Project/Area Number |
63570732
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
石部 裕一 , 医学部麻酔科学教室, 講師 (40122014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楳田 高士 , 医学部麻酔科学教室, 助手 (10168750)
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Keywords | 低酸素性肺血管収縮反応 / 圧-流量曲線 / プロスタグランディンE_1 / ニトログリセリン / ハロセン |
Research Abstract |
1.低酸素性肺血管収縮(HPV)反応に対するニトログリセリン投与の影響を検討した結果、HPVへの直接作用よりも非特異的な肺血管拡張作用により肺の血流分布不均衡を増し、PaO_2を低下させると考えられた。 2.invivoで圧下葉肺の圧(P)と血流量(Q)の関係(P-Qカーブ)を記録し、血流ゼロ時の圧Pfoとカーブの傾きを指標として肺血管トーヌスを評価した。 1)高酸素ガス換気時のP-Qカーブ:P-QカーブのPfoは左房圧に等しく、血流量増加に伴う傾きの増大即ち血管拡張性の増加、あるいは抵抗の減弱が認められた。アンギオテンシンII30μg投与によりカーブは右方に平行移動した。左房圧の上昇分だけ上昇したPfoは肺血液量増加による影響と思われ、肺血管トーヌスの変化を示すものではない。プロスタグランディンE_1(PGE_1)30μg投与による肺血管トーヌスの変化はなかった。 2)HPV時のP-Qカーブと少量PGE_1の影響:低酸素ガス換気によりP-Qカーブは右方及び下方へ偏位した。Pfoの上昇は左房圧より高いcritical pressureの発生、傾きの減少は肺血管トーヌスの亢進を示唆している。PGE_130μg投与によるP-Qカーブの変化を認めなかったので、更に大量のPGE_1投与の影響を次のシリーズで検討した。その結果、0.3μg/kg/minのPGE_1は心拘出量を増加させ、体血圧を中等度に低下させるが、HPV反応には影響を与えず、3μg/kg/minのPGE_1は高度の低血圧とHPV反応の抑制をきたし、PaO_2を低下させることが判った。 3)吸入麻酔薬ハロセンのHPVへの影響をP-Qカーブにより検討した結果、1〜3MACハロセン吸入はHPV反応を抑制しないが、5MACハロセンはP-Qカーブの高流量域での傾きを増加させることが明らかとなった。即ち、臨床使用量のハロセンは、HPVを抑制しないと考えられる。 3.補助金で購入した麻酔ガスモニターマルチキャップ(ダーテックス社)は、イヌの麻酔管理、酸素、炭酸ガス、麻酔ガス計測に極めて有用である。
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