1989 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性肺血管収縮反応に対する各種血管拡張薬の影響の検討
Project/Area Number |
63570732
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
楳田 高士 近畿大学, 医学部, 助手 (10168750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石部 裕一 国立南大阪病院, 麻酔科, 医長 (40122014)
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Keywords | 低酸素性肺血管収縮(HPV) / エンドトキシン / 肺循環 |
Research Abstract |
低酸素性肺血管収縮反応(HPV反応)は肺の低酸素領域から高酵素領域へ血流をシフトさせ、肺のガス交換能を改善させる能動的な肺循環調節機序であるが、ARDS等の肺傷害時には、このHPV反応がどのように修飾されるか、またどの様な役割を果たしているかについては明らかではない。 今研究においては、まず肺障害の原因の1つと考えられるエンドトキシン(ET)のHPV反応に対する作用を検討した。雑種成犬を用いて、すでに報告している左下葉肺分離換気標本を作成し、左下葉肺にHPVを起こさせ、左下葉肺の血流量、PaO_2及び左下葉肺の圧一流量曲線を指標としてETによるHPV反応の経時変化を検討した。同時にET血中濃度、白血球も測定した。その結果、少量(10μg/kg)のETはHPV反応を完全に抑制するが、その反応は可逆的で、しかもHPV反応の強さと白血球は逆相関することが判った。その結果からETの肺傷害には白血球の肺循環系へのPrimingを介して起こるHPV反応抑制作用が強く関与している可能性が示唆された。しかしETのHPV反応への作用は複雑である。即ち、同様の実験系で、あらかじめ少量のETを投与しておくと、先に示したETによるHPV反応抑制作用は認められなかった。これはETはHPV反応自体を可逆的に抑制するが、同時に肺血管拡張物質や種々の生物活性物質を肺血管内皮細胞や白血球から遊離するので、その結果、次に再びETを投与した場合には、それらが予防に作動し、HPV反応の抑制は認められてないという現象が発現したものと考えられた。今後さらにETの肺循環とくにHPV反応への作用機序を検討し、HPV反応が肺傷害等の発症にどのように関与するか、また種々の血管作動性物質がいかに影響を与えるかについて研究をすすめる予定である。
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Research Products
(1 results)