1990 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植における拒絶現象の解析と特異的免疫抑制法の確立
Project/Area Number |
63570736
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富樫 正樹 北海道大学, 医学部, 助教授 (50041843)
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Keywords | ラット主要組織適合抗原 / ラット腎移植 / ラット皮膚移値 / deoxyspergualin / 免疫学的寛容 |
Research Abstract |
ラット主要組織適合抗原であるRTIの完全不適合である,TO(RTI^u)とWKAH(RTI^k)の腎移植では10.17±2.79日で急性拒絶を来たすことが明らかとなっている。また,その拒絶反応は腎移植後4日目より出現することが判明した。従来TOの脾細胞前投与により特異的免疫抑制状態が誘導されることも明らかにされて来た。 比度は,donorにTO,recipientにWKAH(従前と同一近交系ラット)を明いた腎移植モデルに,新しい免疫抑制剤であるdeoxyspergualinを腎移植後4日目より4日間の短期投与を行なった(DSG群)。その結果無処置群の移植腎生着日数は10.17±2.79日(n=6)であったのに対しDSG群のそれは197.1±82.8(n=12)と著明な生着延長を示した。 次いで,そのkineticsを解析するために各種処置を施したWKAHをrecipientとし,TO,SDJ,LEJ,BUFラットをdonorとする皮膚移植実験を行なった。その結果SDJ,LEJ,BUFラット皮膚はrecipientの処置法にかかわらず急性拒絶された。しかし,TOラット皮膚片は無処置WKAH,DSG投与WKAHにおいて急性拒絶されたが,TOラット腎移植を以前に受け,4日目より4日間DSG投与を受けたWKAHラットは,TOラット皮膚移植片を許容することが判明した。またTOラット皮膚片の許容は腎移植後1週目より明らかで,その許容は免疫抑制なしに長期に継続することも明らかとなった。すなわち腎移植後4日目より4日間の短期DSG投与により,特異的な免疫学的寛容状態が誘導されたものと結論した。その機序としてsuppressor T細胞,移植片のadaptationなどが推定された。 なお,脾細胞投与による抑制性T細胞誘導の証明としてのadoptive transferの実験は行ない得なかった。
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Research Products
(2 results)