1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570751
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
小嶺 信一郎 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (00162058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉森 甫 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50038642)
真崎 善二郎 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40038716)
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Keywords | 子宮癌 / 根治的子宮全摘術 / 神経因性膀胱 / 予防 / 神経電気刺激 / 骨盤神経叢 / 神経同定 |
Research Abstract |
平成元年度は症例の追加はできなかったが、それまでの症例をまとめて国際学会(19TH International Continence Society,Yugoslavia)で発表した。その要旨を以下に記す。対象は佐賀医科大学婦人科で広汎性子宮全摘術を受けた子宮癌患者19例で、年齢は33才から68才、平均51才であった。19例中13例で電気刺激により膀胱収縮を生じ、骨盤神経線維を同定できた。残る6例は電気刺激によって反応を生じなかったので、骨盤神経線維を同定できなかった。このうち、両側同定は6例であった。この6例についてみると、両側の神経線維を温存できたと思われたものは3例であり、この3例は術後神経因性膀胱を生じなかった。また片側温存は2例で、このうち1例が術後神経因性膀胱を生じた。残る1例は神経を固定できたが、手術の都合で神経を切断し、述語神経因性膀胱を生じた。片側のみの同定は7例であった。この7例についてみると、神経線維を温存できたと思われたものは5例であり、この中で3例は術後神経因性膀胱を生じた。手術の都合で神経を切断した症例は2例であり、この2例は術後神経因性膀胱を生じた。残る6例は子宮基靱帯の背側の線維を数カ所刺激したが膀胱内症は上昇しなかったので、骨盤神経を同定できなかった。この6例のうち、5例に術後神経因性膀胱を生じた。以上をまとめると、神経を同定してしかも温存できた10例では、術語の神経因性膀胱は4例であったが、神経を温存できなかった9例では、8例が術後神経因性膀胱を生じた。術中に電気刺激により骨盤神経を同定・温存できた症例は、同定できなかったものと比べて、術後に神経因性膀胱の合併が少ないと考えられた。まだ神経同定可能症例が少なく、神経温存症例も低率であるが、刺激電極の改善などを行い更に経験をつめば、この方法は術後の神経因性膀胱の予防に有効であると思われる。これらの結果は第40回西日本泌尿器科学会総会、1988年10月高松及び、第19回International Continence Society,1989年11月Ljubl jana,Yugoslaviaで口演発表した。また西日本泌尿器科学会雑誌に論文として発表した(1989年51巻2号365-369頁)。
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