1988 Fiscal Year Annual Research Report
新規腫瘍壊死因子(TNF-S)の人尿路性器系悪性腫瘍に対する治療効果の検討
Project/Area Number |
63570755
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
加藤 幹雄 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (80096213)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杣 源一郎 帝京大学, 生物工学センター, 助教授 (00158990)
|
Keywords | 腫瘍壊死因子 / 人尿路系悪性腫瘍 / ヌードマウス移植系 / 増殖抑制 |
Research Abstract |
TNF-αのN末端アミノ酸構造の一部を変換した新規腫瘍壊死因子(TNF-S)の人尿路系悪性腫瘍細胞に対する抗腫瘍効果を、in vitro,in vivoの両面より検討した。(A)TNF-αとTNF-Sの抗腫瘍効果の比較は、人膀胱癌細胞T-24を用いたin vitro assayによっておこなったが、クリスタルバイオレット法による細胞障害性試験では、TNFとの72時間混合培養で、TNF-αが1×10^4u/mlでも細胞障害性を認めなかったのに対し、TNF-Sは9×10^3u/mlでED_<50>で認められた。しかしながら、18時間混合培養では両者共細胞障害性を認めなかった。TNF-α抵抗性の尿路腫瘍細胞に対して、TNF-Sは軽度の細胞障害性を示した。(B)TNF-Sのin vivoの抗腫瘍効果は膀胱癌細胞HUB-4のヌードマウス移植系を用いて検討した。TNF-S2×10^4Uの腫瘍局所内投与を隔日で5回施行したところ、局注後2週間は対照群に比し有意な増殖抑制が認められた。また、5×10^4uに増量した治療群では、同様に2週間の増殖抑制が認められ、5匹中1匹に腫瘍の完全消退が認められた。次に、人腎癌臨床材料より移植された腫瘍系の治療実験では、2×10^3u局注で増殖抑制を認めるに至っていない。これらの結果より、TNF-Sの腫瘍内局所投与は、一定の濃度以上を用いた場合には、人尿路系腫瘍に有効である可能性が、示唆された。その他、予備的な検討で、TNF-Sと他種薬剤との併用効果をHUB-4移植系を用いておこなった。IFN-γとの局所内併用投与では増殖抑制の増強は認められなかった。TNF-S5×10^4uの局注ならびにcDDP4mg/kgの腹腔内投与の併用では、cDDP投与を、TNF-S治療前もしくは同治療後の投与時期でおこない、cDDP単独群と比較したが、いずれの投与時期でもcDDP投与後2週間までは、併用群の増殖抑制が有意に高く認められた。併用投与法については、次年度に更に検討する予定である。
|