1989 Fiscal Year Annual Research Report
自己回帰モデルを用いた腎移植患者免疫ネットワ-クの時系列解析に関する研究
Project/Area Number |
63570758
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
出口 修宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90118977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 邦弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00198821)
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10167546)
和田 孝雄 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10090036)
畠 亮 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40051586)
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Keywords | 自己回帰モデル / 腎移植 / 免疫ネットワ-ク |
Research Abstract |
平成元年度までに、腎移植患者における免疫ネットワ-クの解析は、6例に増えた。これまで、1〜3日ごとに30回におよび静脈採血を行ないCD4、CD8、leu7、OKT9などのリンパ球サブセットおよびクレアチニン、BUN、WBC、尿中NAG、β_2MG、尿量の測定をし、自己回帰モデル(赤池原法、和田による臨床デ-タ-解析用に修正)を用い検討したが、尿中のNAGや、血清クレアチニンの変動はCD4、CD8、NK細胞などにより影響を受けることが判明した。さらに症例の増加により、2〜3の知見を得た。パワ-寄与率およびグンパルス応答の結果から、CD4とCD8の間にはネガティブフィトバック関係があり、数日遅れて互いに抑制しあっている可能性が示唆された一方、CD4と尿中NAG変動の関わりをみると、症例により応答の方向性が一定せず、腎機能障害因子としてのCD4細胞の明らかな関与は確認できなかった。またCD8細胞からのNAGへの影響も明確ではなかったが、その逆方向の応答は各症例間に共通性があった。その他、血清クレアチニンやBUNの変動と上記諸細胞ならびにNK細胞などとの相互作用についての検討でも細胞性免疫は、腎機能障害の原因として動くだけでなく、その結果としても大きな影響を受けていることが示された。CD4とCD8は、拒絶反応に対して影響因子となる可能性が考えられたが、その影響度は個人差が強く、一様に論じることができない状況から、背景因子を洋細に検討する必要性を認めた。これまでの結果、本法は腎移植患者の免疫ネットワ-クの解析に有用であるが、拒絶反応を探るためには、さらに異なった多種類の因子の考慮と症例を重ねる必要があると思われた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 和田孝雄: "システム解析の立場からみたimmunomodificationの意義" 自己免疫疾患治療薬の開発研究-微生物二次代謝産物を中心として-青柳班-昭和62年度研究報告書. 105-113 (1988)
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[Publications] Jun Nakashima: "In vitro induction of endogenous tumor necrosis factor(TNF)and its cytotoxicity against renal cell carcinoma(12cc)" Keio J Med. 37. 72-84 (1988)
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[Publications] 畠亮: "ラット同種間輸血と腹腔内マクロファ-ジのProstaglandin thromboxane産生能-末梢系輸血と門脈系輸血との対比において" 腎移植・血管外科. 1. 105-110 (1989)
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[Publications] 出口修宏: "自己回帰モデルを用いた腎移植患者免疫ネットワ-クの解析" 今日の移植.