1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570760
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
近藤 直弥 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80138750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 春城 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90159210)
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Keywords | 睾丸胚細胞性腫瘍 / 絨毛上皮癌 / 分化誘導 / HCG |
Research Abstract |
ヒト睾丸絨毛上皮癌細胞株JHTK-1を用いて、DBcAMP(clibutyl cyclic AMP)による分化誘導能を検討した。研究方法:絨毛上皮癌細胞株JHTK-1は、その形態が上皮様でほぼ均一な細胞からなるコロニーを形成する。機能的にはHCGの他にestrone(EI)、estradiol(E2)を産生分泌する。JHTK-1細胞を30mm-plastic dishに5×10^4個のdensityで植え、分化誘導物質であるDBcAMPを0.1、0.5、1.0、2.0mMの各濃度で添加した。添加後12、24、48時間に細胞形態の観察、培養上清中のホルモン濃度の測定、HCG抗体による剥離培養細胞の免疫組織化学的染色および培養細胞数の計測を行なった。研究成績:1.形態的変化。DBcAMP(1mM)を添加すると48時間は対照と比較して変化が認められ、細胞周囲に突起が出現し、ときおり星状形の細胞が観察された。この新しく出現した細胞はsyncytiotrophoblastic cellであることが、生化学的検討によっても示唆された。2.HCG産生。培地に1mMのDBcAMPを添加すると、HCG分泌量は48時間で対照の15倍以上に達し、これは新しい形態の細胞の出現と平行した経時的変化であった。しかし、2mM以上の高濃度では毒性が出現し、逆にHCG分泌量は減少した。剥離培養細胞の免疫組織学的検討では、HCG抗体で染色されるHCG陽性細胞数がDBcAMPの濃度(0.1〜1.0mM)に依存的に増加した。また、このDBcAMP添加実験では女性ホルモン(estrone E1,estradiol E_2)の分泌量に変化はみられなかった。3.細胞増殖。DBcAMP(1mM)の添加により48時間で対照と比較して細胞数が50%抑制され、分化誘導により増殖性が阻害されたものと考えられた。 以上の成績からDBcAMPはJHTK-1細胞をcytotrophoblastic cellからsyncytiotrophoblastic cellへ分化誘導させたものと考えられた。今後はこのシステムを用いて、各種分化誘導物質の探索を行なう計画である。
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