1988 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒膜細胞の増殖と分化におけるILー1の意義に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63570777
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泰井 俊造 京都大学, 医学部, 講師 (60144367)
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Keywords | 卵巣顆粒膜細胞 / インターロイキン1 / ステロイド産生 / 黄体化 / サイトカイン |
Research Abstract |
1.培養ブタ卵巣顆粒膜細胞の黄体化ホルモン(LH)刺激時のプロゲステロン(P)産生に対するインターロイキン1(ILー1)の抑制作用のメカニズムについて検討した結果、以下の知見を得た。ILー1はLHLセプターの数を減少させるとともに、adenylate cyclaseに対しても直接的な抑制作用をおよぼすことにより、LH刺激時のサイクリックAMP(cAMP)産生を減少させると考えられた。一方、ILー1はcAMP analog添加時のP産生には影響を与えなかったところから、cAMPの産生以後Pの産生に至るstepに対しては抑制作用を示さないと考えられた。以上の知見に関する論文を現在投稿中である。 2.卵巣内におけるILー1の存在を証明する目的で、ILー1の主たる作用のひとつであるILー2receptor-inducing activityを指標として検討を加えた結果、卵胞液中および顆粒膜細胞培養上清中にこの活性が存在し、卵胞あるいは顆粒膜細胞の成熟に伴ってそのレベルが変化することを見いだした。この知見に関する論文についても現在投稿中である。またこの活性の物質的な同定を行ってILー1との異同を確認する目的で、卵胞液および顆粒膜細胞中の同活性の精製を現在試みている。 3.顆粒膜細胞にILー1レセプターが存在することを証明する目的で、^<125>IーILー1を用いてILー1receptor binding assayを施行中であり、preliminaryには少数(200sites/cell程度)ながらILー1レセプターが存在するという結果を得ている。 4.follicle-stimulating hormone(FSH)によって誘導される、未成熟な顆粒膜細胞の分化に対するILー1の影響についても検討中である。preliminaryには、顆粒膜細胞の分化の指標となるaromatase活性、およびLH receptorの誘導というFSHの作用に対してILー1が抑制作用を有するという結果を得ており、現在詳細に検討中である。
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[Publications] Fukuoka,M.: Endocrinology. 122. 367-369 (1988)
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[Publications] 福岡正恒: 医学のあゆみ. 147. 754-754 (1988)
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[Publications] Fukuoka,M.: Endocrinology. 124. 884-890 (1989)
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[Publications] Mori,T.: Steroids. (1989)
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[Publications] Mori,T.: "Regulation of steroidogenic function during luteinization.,Development of preimplantation embryos and their environment." Alan R.Liss,Inc., (1989)
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[Publications] Mori,T.: "Growth factor modulation of gonadotropin action on porcine granulosa cells.,In vitro fertilization and alternate assistet reproduction." Plenum Publishing Corparation., (1989)