1989 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病の母児感染防止に関する臨床的・疫学的研究
Project/Area Number |
63570781
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
米澤 優 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (20191661)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国富 泰二 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (10033292)
平松 祐司 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (80218817)
江口 勝人 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (10112145)
|
Keywords | 成人T細胞白血病(ATL) / 母児感染 / 感染経路 / 家系調査 |
Research Abstract |
昭和63年度よりの通算で妊婦19375例でATLウイルス抗体が検査され、95例(0.49%)が陽性と判定された。うち妊娠終了した例は91例であるが、妊婦検診の途中で転院して分娩施設不明例、岡山県で里帰り分娩し現住所へ帰った例、新生児死亡となった例などがあるためfollow up対象例は63例である。4例は現在妊娠中である。follow up対象例のなかには出生後の検診に来院しない例もあり、以下の成績は協力の得られた症例についての結果である。 栄養法は60例中、完全人工乳49例、凍結母乳4例、加温母乳1例、もらい乳1例で61例中55例(90.2%)は感染防止のための栄養法を選択したが、61例中6例(9.8%)は通常の母乳栄養を選択した。 臍帯血中のATLウイルス抗体は検査された49例中すべて陽性であった。 出生後のfollow up成績は、生後18カ月を経過した児は9例であり、いずれも抗体は陰性であった。 家系調査の結果は、まず対象児の同胞で母乳栄養され生後1年以上経過している児についてATLウイルス抗体を検査したところ、18例中5例(27.8%)で陽性であり感染が成立していると考えられた。 感染経路について妊婦、配偶者、母方父方祖父母について調査するとATL多発地域出身家系が71例中39例(54.9%)、白血病家系が2例、供血歴がある妊婦が2例、家族に供血歴が1例、前述のいずれもない家系が27例(38.0%)であった。従来、配偶者感染は夫から妻への感染が主で、妻から夫への感染はないとされている。抗体陽性妊婦の配偶者(夫)について調査すると、42例中7例(16.7%)がATLウイルス抗体陽性であった。7例中配偶者(夫)の家系のみがATL多発地域である例が3例で、逆に妊婦の家系のみがATL多発地域である例が3例あった。家族全体の詳細な抗体検査は困難であるが、この結果は妻から夫への感染の可能性を示唆する結果である。
|