Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 康之 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (30221550)
田中 宏和 香川医科大学, 医学部, 助手 (80207125)
林 敬二 香川医科大学, 医学部, 助手 (30201718)
柳原 敏宏 香川医科大学, 医学部, 助手 (90166546)
神保 利春 香川医科大学, 医学部, 教授 (50010179)
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Research Abstract |
昭和63年度および平成元年度における正常妊娠における研究結果では,(1)胎児は音刺激に対し比較的敏感に反応し,強い音刺激ほど反応が強いこと,(2)胎児の音に対する反応は睡眠リズムに影響されること,(3)胎児呼吸運動の1分あたりの回数は,妊娠34週の頃が最もはやく,肺成熟との関係が示唆されること,(4)胎児呼吸運動は睡眠パタ-ンとの関連が強いこと,(5)胎児の眼球運動を分析することにより,胎児のREM,nonーREM睡眠の分析が十分可能であることが確認された。妊娠中毒症などにより胎児の機能が抑制されている症例においては,(1)胎動の回数と強さがあきらかに減少すること,(2)胎動時の心拍acceleration発生回数が減少すること,(3)Accelerationの高さの低下は少ないが,上昇角度が減少すること,(4)音響刺激に対する反応はあきらかに低下すること,(5)胎児呼吸運動は著明に抑制されること,(6)眼球運動も抑制されることなどが確認され,胎児の機能的成熟の非常によい指標になることが確認された。平成2年度においては,各種合併症妊娠における胎児行動の変化,とくに精神疾患における薬剤投与時,すなわち胎児の中枢神経系に対する薬剤投与の影響に関して研究を進めた。その結果(1)てんかん合併妊娠における抗痙攣剤の投与では,通常の投与量では胎児の心拍数のaccelerationの頻度,細変動は抑制されないが,過量投与時にはあきらかにaccelerationと細変動が抑制され,したがって胎児の中枢神経系の抑制が確認されること,(2)精神分裂病においては,ハロペリド-ル等の向精神薬の通常の投与量によって,あきらかにaccelerationの減少と細変動の消失,さらに胎動の減少が認められ,胎児の中枢神経系は著明に抑制されること,(3)抗うつ剤では著明な抑制等は認められないことなどが確認された。今後,これらの結果を新しい臨床診断の判定基準の確立に役立てたい。
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