1989 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠経過における血圧調節液性因子の遺伝子レベルでの発現に関する研究
Project/Area Number |
63570786
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北川 博之 愛媛大学, 医学部, 講師 (60195253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 敏昭 愛媛大学, 医学部, 助手 (50216222)
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Keywords | 妊娠 / アンジオテンシノ-ゲン / キニノ-ゲン / m-RNA / SHR(自然発症高血圧ラット) |
Research Abstract |
これまでに妊娠時には肝臓におけるアンジオテンシノ-ゲン、キニノ-ゲンの産生が亢進することをmRNAの測定により確認してきたが、この妊娠時の亢進がどの様な因子により調節されているか不明である。そこで今回妊娠時に増加するエストロゲンの影響に関して検討を加えた。週齢7週のWistar ratを両側卵巣摘出術により去勢し、2週間後より1/4日で3回の500ugのEstradiol Valerate腹腔内投与を行った。エストロゲン負荷群ではアンジオテンシノ-ゲン,キニノ-ゲンともそれぞれ3.6倍、4.1倍の有意の産生亢進が認められた。妊娠時における肝臓でのAG,KGの産生亢進の原因の1つとして、エストロゲンが考えられる。 高血圧妊娠時におけるキニノ-ゲンの変動、塩分負荷の影響を検討するために自然発症高血圧ラット(SHR)を用いて検討を加え、以下の成績を得た。正常ラットでは妊娠経過を通じて血圧はほぼ一定に保たれるが、SHRにおいては妊娠末期に有意の血圧低下が認められた。正常ラットでは塩分負荷によっても妊娠時血圧の変動は認められなかったが、SHRでは妊娠末期の血圧低下傾向は減弱していた。SHRでは妊娠時の肝臓でのKGの産生亢進が正常ラットに比して顕著であるが、塩分負荷による更なる産生亢進は認められない。SHRでは昇圧反応に対する代償機構の破錠が示唆され、この破錠が塩分負荷の血圧低下現象の妨げになっていると考えられる。
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