1988 Fiscal Year Annual Research Report
卵受精能に対するエストロゲン・プロゲステロンの役割-Ca^<2+>・cAMP系との関連-
Project/Area Number |
63570789
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡村 均 熊本大学, 医学部, 教授 (20026983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 康二 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50145322)
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Keywords | 顆粒膜細胞 / カルシウム・カルモデュリン依存性蛋白リン酸化酵素 / 自己リン酸化反応 / 細胞内カルシウム調節 / 卵成熟 |
Research Abstract |
我々の排卵機構に関する研究から、排卵機構にエストロゲン・プロゲステロン・プロスタグランディンが密接に関与している事を明らかにしてきたが、最近、IVF-ETやGIFTを実施する際の卵受精能に関しても卵巣由来のホルモンが重要な役割を演じているとの報告が見られるようになってきた。我々はこの中で特に、顆粒膜細胞より分泌されるホルモンの卵成熟に及ぼす影響に着目して研究を開始した。実験系は、(1)動物(ラット)顆粒膜細胞を用いた系(2)IVF-ETやGIFT施行時に得られたヒト顆粒膜細胞を用いた系、の2種に大別し、(1)の系より研究に着手している。当研究室の大場当は、ラット胎児線維芽細胞3YIに存在するカルシウム・カルモデュリン依存性蛋白リン酸化酵素が胎児牛血清・EGF・A23187に反応して自己リン酸化をおこし細胞内カルシウム調節に重要な役割を演じている事を明らかにした。(J.Biol.Chem.263,11540-11547,1988)幼若ラットにDiethyl stil bestrol処置して得られた卵巣よりKnecht等の方法(J.Biol.Chem.256,34-36,1981)に準じてラット顆粒膜細胞を調整し、ラット顆粒膜細胞に存在する、カルシウム・カルモデュリン依存性蛋白リン酸化酵素の自己リン酸化に及ぼす種々の因子の影響について検討した。現在までに、FSH・LH・エストロゲン・プロゲステロン・EGFの影響について検討したが、これらの因子はカルシウム、カルモデュリン依存性蛋白リン酸化酵素の自己リン酸化反応には影響を与えなかった。しかし、数種の因子については、ラット顆粒膜細胞に存在するカルシウム・カルモデュリン依存性蛋白リン酸化酵素の自己リン酸化を促進させる事が現在明らかとなり、その因子について現在同定中である。今後は、この酵素の顆粒膜細胞における生理的機能や卵成熟に及ぼす影響について検討し、更にはヒト顆粒膜細胞についても同様の検討を行う予定である。
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