1988 Fiscal Year Annual Research Report
胎児神経系の発育分化過程におけるNerve Growth Factor(NGF)の意義に関する研究
Project/Area Number |
63570794
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
多賀 理吉 横浜市立大学, 医学部・産婦人科, 講師 (00107682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 尚之 横浜市立大学, 医学部・産婦人科, 助手 (70194206)
水口 弘司 横浜市立大学, 医学部・産婦人科, 教授 (20010176)
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Keywords | NGF / 胎児 / 発育分化 / tyrosine hydroxylase / NGF受容体 |
Research Abstract |
1)胎仔、新生仔におけるNGF受容体 ニワトリ胚の脊髄後根神経節、ラット胎仔および新生仔の上頚神経節や副腎随質におけるNGF受容体の存在を明らかにし、その胎令、出生後の日令による変化を明らかにした。すなわち、NGF binding studyにおけるNGF受容体は、まず、後根神経節では、胎令7〜9日令で高濃度であるが、11日〜13日日令では漸減して低下を示し、15〜17日令ではほとんど認められなかった。これらの変化は生物学的検討とも一致した。一方、上頚神経節では、胎令20日でもNGF受容体は存在するが、これは生後1週より徐々に減少した。最後に、副腎では、NGF受容体の活性は低く、生後1週のラットでは活性を示したが、生後2、3週ではほとんど認められなかった。 2)胎仔におけるNGFの作用 ラット胎仔、新生仔の上頚神経節および副腎のin vitro実験において、NGF添加によるtyrosine hydroxylase活性を^3H-tyrosineを用いて分析し、胎仔神経系におけるNGFの生物学的効果およびその胎令による変化を検討した結果、この酵素活性の定量がNGFの効果発現の有効な指標であることが新たな知見として得られた。すなわち、ラット胎仔(20日令)および生後1、2週のラットの上頚神経節において、NGF添加によりtyrosine hydroxylase活性の有意の上昇を認めたが、とくに胎仔において上昇率が高かった。一方、副腎においては、上頚神経節に比較して全般的にこの酵素活性は低く、NGF投与でも2週令のラットの副腎においてのみ有意の上昇がみられた。 以上の知見から、NGFが胎児、新生児の神経系の発育に深く関与している可能性が生化学的に証明された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T.Koshimizu;T.Suzuki;M.Taga;H.Minaguchi: 8th International Congress of Endocrinology Satellite Symposium on Placental Proteim Hormones. (1988)
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[Publications] T.Suzuki;T.Koshimizu;M.Taga;H.Minaguchi: 8th International Congress of Endocrinology. 604-604 (1988)
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[Publications] 水口弘司,多賀理吉,小清水勉,鈴木猛: 厚生省特定疾患神経皮膚症候群調査研究班 昭和62年度研究報告書. 92-97 (1988)
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[Publications] 小清水勉,鈴木猛,多賀理吉,水口弘司: 日本産科婦人科学会雑誌. 41. 175-175 (1989)
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[Publications] M.Taga;M.Shigeta;T.Suzuki;T.Koshimkzu;T.Ohtuka;A.Kata;H.Minaguchi.: Yokohama Med Bull.39. (1989)
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[Publications] 鈴木猛,茂田博行,中山昌樹,小清水勉,高橋恒男,多賀理吉,水口弘司: 日本産婦人科学会 神奈川地方部会誌. 26. (1989)
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[Publications] T.Suzuki;T.Koshimizu;M.Taga; and H.Minaguchi: "Proceedings of the 6th international congress on placenal and endometrial proteins" VSP, (1988)
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[Publications] M.Taga;T.Machida;T.Ohtuka;H.Minaguchi: "Role of Prolactin in Human Reproduction" Karger, 231-239 (1988)