1988 Fiscal Year Annual Research Report
慢性副鼻腔炎鼻汁のレオロジー的性質に及ぼす薬物の効果
Project/Area Number |
63570807
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
間島 雄一 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60024791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂倉 康夫 三重大学, 医学部, 教授 (40024723)
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Keywords | 慢性副鼻腔炎 / 粘液繊毛機能 / 粘性率 / 弾性率 / 気道液 / 薬物療法 |
Research Abstract |
慢性副鼻腔炎鼻汁は高い粘弾性値を示し、これが本症における鼻腔粘膜粘液繊毛機能障害や〓鼻による鼻汁の排泄障害の主な原因と考えられている。 方法:本研究では4種の作用の異なる薬剤を別々に成人慢性副鼻腔炎患者に経口投与し、投与前後の鼻汁の粘弾性を磁気振動球レオメーターで測定するとともに鼻粘膜粘液繊毛機能をサッカリン法で測定した。投与薬剤は抗菌剤Norfloxacin(NFLX)600mg/日2週間、蛋白分解酵素Serratiopeptidase(SER)30mg/日4週間、粘液調製剤S-carboxymethylcysteine(SCMC)1500mg/日4週間、チオール製剤L-cysteine ethylestor hydrochloride(CEE)300mg/日4週間である。 結果:(1)NFLX投与により鼻汁の弾性率(G')は有意に低下を示したが粘性率(η')に変化はみとめられなかった。(2)SER投与によりG'に変化をみとめなかったがη'は有意に低下した。(3)SCMC投与ではG'、η'ともに変化をみとめなかった。(4)CEE投与によりG'、η'は有意に低下した。(5)鼻粘膜粘液繊毛機能はSCMC投与群とCEE投与群において有意の改善がみとめられた。 考察:慢性副鼻腔炎の薬物療法の基本の一つは高い粘弾性値を有する鼻汁のそれを低下させ、また低下した粘液繊毛機能を回復させることにある。本研究で示されたごとく薬物の経口投与で鼻汁の粘弾性値を低下させうる薬物が存在することが明らかとなった。一方、粘弾性値を低下させる薬物が必ずしも粘液繊毛機能を改善するとはいえないことも明らかとなった。従って本症には鼻汁の粘弾性を改善する薬物と粘液繊毛機能を改善する薬物を併用するのがよいと考えられた。また細菌感染が存在する場合には抗生剤や抗菌剤の併用が本症の鼻汁のレオロジー的性質や粘液繊毛機能にとって有効であると想像された。
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[Publications] Yuichi,Majima et al: Arch Otorhinolaryngol. 244. 355-359 (1988)
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[Publications] 間島雄一 他: 耳鼻臨床. 81. 909-915 (1988)
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[Publications] 坂倉康夫: 医学のあゆみ. 144. 783-787 (1988)
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[Publications] 増田佐和子 他: 耳鼻臨床.