1988 Fiscal Year Annual Research Report
病巣性扁桃炎の免疫学的、ウイルス・細菌学的研究とその診断への応用
Project/Area Number |
63570814
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山中 昇 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10136963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹沢 裕之 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30192165)
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Keywords | 病巣性扁桃炎 / 免疫複合体 / 抗ケラチン抗体 / EBウイルス / 自己抗体 |
Research Abstract |
63年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1)免疫複合体:掌蹠膿疱症60例、胸肋鎖骨過形成症22例について、血清中免疫複合体を検索した。正常対照例の免疫複合体量が1.4±0.8μgAHGeq/mlであったので、3.0μgAHGeq/ml以上を陽性例とした。免疫複合体陽性例は掌蹠膿疱症では21例(35%)、胸肋鎖骨過形成症では8例(36.4%)であった。現在症例の経過観察を行い、症状の改善度と術前の免疫複合体値との関係、術後の変化との関連を検索中である。 2)抗ケラチン抗体:掌蹠膿疱症50例、正常対照20例について、血清中抗ケラチン抗体(IgG、およびIgM抗体)を測定した。各々402nmにおける吸光度で表わすと、正常対照ではIgG抗ケラチン抗体0.07±0.03IgM抗ケラチン抗体0.52±0.21であった。掌蹠膿疱症症例では、それぞれ0.12±0.1、0.46±0.21の値が得られ、両者ともに正常対照よりも有意に高値であった(P<0.05、P<0.01)。陽性率はIgG抗ケラチン抗体50%、IgM抗ケラチン抗体66%であった。現在術後の皮疹の変化と抗ケラチン抗体との関係を検索中である。 3)扁桃リンパ球による自己抗体の産生:掌蹠膿疱症患者19例の手術的に摘出した扁桃から、リンパ球を分離し、B95ー8株EBV(Epstein-Barr virus)を感染させ、2ー4週間培養し扁桃リンパ球由来のEBVトランスフォーム細胞を樹立した。培養上清中の自己抗体活性を蛍光抗体法により検索したところ、19例中6例で扁平上皮癌細胞(Hep2細胞)の核成分または細胞質成分との反応を認めた。また5例で正常皮膚の角質との反応を認めた。 63年度の研究では、病巣性扁桃炎患者血清中に免疫複合体、抗ケラチン抗体の有意な上昇を認め、病巣性扁桃炎二次疾患者の発症機序を探る上で非常に重要な成績が得られた。
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