1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570815
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
橘 正芳 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 教授 (10128712)
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Keywords | ストレス / 電撃ショック / 灸 / ラット / 鼻粘膜 / 杯細胞 |
Research Abstract |
前年度はラットを用いて尾から電撃ショックを与えた場合の鼻粘膜の杯細胞の分泌機能を組織化学的に検討した。その結果電撃ショックはラット鼻粘膜の杯細胞の分泌機能を亢進せしめることを明らかにした。 今年度はストレスの内でも快適ストレスである灸刺激をラットに与え鼻粘膜の杯細胞の分泌機能に与える影響を知ろうとした。体重約200グラムのWistar系雄性ラットを用い麻酔下に両側耳介を結ぶ線と正中線との交点に、カマヤミニを用い5壮温灸刺激を与えた。対照は麻酔後なんら処置を施させない動物とした。鼻中隔を摘出し10%緩衝ホルマリンにて24時間浸漬固定したのち、30分水洗し実験顕微鏡下に鼻粘膜を剥離した。これを3%酢酸水に5分間、ついで1%アルシアン・ブル-(pH2.5)に10分間浸漬した。さらに3%酢酸水に5分間浸漬し、5分間水洗したのち実体顕微鏡下に鼻尖部から後方6〜8mm部の鼻粘膜上皮を剥離した。されをスライドグラス上で伸展しグリセリンに封入した。これを光学顕微鏡にて400倍で観察し、画像計測システムを用いてアルシアン・ブル-に染まった部分の面積率を産出した。 その結果アルシアン・ブル-に染まった部分、すなわち杯細胞内の多糖類が温灸刺激群で有意に低下することが明らかとなった。すなわち、鼻粘膜の分泌機能に対して、温灸刺激は、電撃ショックとは全く逆の方向に作用することが明らかになった。 以上、ストレスは上気道の分泌機能に影響を与える。しかもその種類、すなわち快ストレスであるか不快ストレスかにより、反対方向の影響を与えることが明らかとなった。これらは恐らく自律神経系や、内分泌を介して起こる現象であり基礎医学的に興味深いが、臨床的にも温灸刺激が不快いストレスの悪影響を取り除く可能性を示唆しており興味深い。
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[Publications] 橘正芳,瀬沼広幸: "ストレスのラット鼻粘膜に及ぼす影響" 耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 62. (1990)
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[Publications] M.Tachibana,H.Senuma: "Effeet of stress on the nasel mueosa of the rat" Europeau Avchives of Oforhinolauyngol. (1990)