1988 Fiscal Year Annual Research Report
硝子体ゲルおよび硝子体網膜界面における分子構築の研究(硝子体網膜病変への応用)
Project/Area Number |
63570830
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松岡 徹 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (10165780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 英治 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (70207645)
白神 史雄 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (50187530)
大島 浩一 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (40176871)
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Keywords | 硝子体ゲル / 透過型電子顕微鏡 / ディープエッチング / フリーズフラクチャー / レプリカ法 / 網膜内境界膜 / 分子篩 |
Research Abstract |
硝子体ゲルの真の微細構造を観察するため、凍結割断法を工夫し、硝子体線組の走行と硝子体線維間の構造について観察した。材料としてマウス眼の全硝子体、一部はニホンザル眼および白色ウサギ眼の硝子体組織片を用い、眼球は、セテルピロディニウムクロライドを固定液に加えて固定した。凍結眼球は、凍結割断ディープエッチング法でレプリカを作成し、一方ではDMSO凍結割断レプリカ法でレプリカを作成し、透過型電子顕微鏡にて観察した。その結果硝子体線維は、直線的に走り、密な格子を形成していた。低濃度のエタノール浸漬によるディープエッチング法を用いることにより、硝子体線維の格子に絡むグリコサミノグリカンの細線維が明瞭に観察された。このことにより硝子体腔内における2重網目の微細構造を証明することができた。 一方では、コラゲナーゼ処理と臨界点乾燥表面レプリカ法を用いウサギ眼の網膜内境界膜の超微細構造を観察できた。とくに網膜内境界膜の硝子体側を広範囲かつ鳥瞰図的に観察できた。すなわち網膜内境界膜は、網目構造をとり、篩が三次元的に重なり広がっていた。篩の孔の直径は、10〜25nmに集中し、部位になる有意差は認められなかった。網膜の周辺部では、硝子体線維が密に残り、網膜内境界膜の透見できる部分が非常に少なく、分子篩の分布が疎でその形も他と多少異なっていた。今回の結果より、これらの網膜内境界膜の篩は、網膜硝子体間の物質の移動の関門の役割を果たすと考えられた。篩の分布が疎で硝子体線維が密な網膜周辺部より網膜後極部などで物質の移動がより多く行われているのではないかと推察した。また網膜内境界膜の分子篩孔は、無固定試料の凍結割断ディープエッチング法でも確認することができた。
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