1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570843
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山下 靖雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (70014157)
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Keywords | 付着上皮 / 上皮付着 / 分泌と吸収 / 歯小皮 / 基底膜様構造物 / 顆粒状構造物 |
Research Abstract |
ヒト歯肉付着上皮とエナメル質最表層の構造について、それらの間に介在している歯小皮と関連づけて三方向の断面で観察を行った。付着上皮細胞は全般的に扁平な形態をしているが、細胞間隙に白血球などが介在している場合には、それらに隣接している上皮細胞はかなり不規則な外形を呈するものが多く認められる。付着上皮は一般にtonofilamentがよく発達し、通常の口腔上皮の特徴を有しているが、広い細胞間隙には多数のmaicrovilliが認められ、細胞内にはゴルジ装置、mitochondoria、分泌顆粒のほか、各種のvesicleや細胞膜湾入が多数認められていることから、これらの細胞は物質の吸収、合成ならびに分泌を活発に行っている様子がうかがわれる。歯面あるいは歯小皮に直接接している付着上皮最表層の細胞は、核が存在している位置よりも歯質側の細胞内に、ゴルジ装置をはじめ、顆粒や他の細胞小器官がおおく分布している状態からみて、歯面に面する側の細胞領域において、付着などの機能に関連する物質の合成、分泌ならびに代謝を盛んに行っていると思われる所見が得られた。また、最表層の細胞内にみられるtonofilamentは、他の細胞のものと異なって、かなり特異な配列状態を示すことが明かとなり、これらの所見が上皮付着の機構を上皮細胞側から形態学的に解明する一助となるように思われる。付着上皮は基底膜様構造物を介し、歯小皮あるいはエナメル質(セメント質)表面に付着している。基底膜様構造物および歯小皮(第二膜)の領域には、二重膜構造を有する大小の球形ないし卵円形した顆粒状構造物が認められ、これらの顆粒状構造物と歯小皮の形状由来との関連性が問題となった。エナメル質の最表面は、一般の歯小皮第一膜となっている場合が多い。今後これらの歯小皮あるいは歯面と基底膜様構造物との結合メカニズムを形態学的に究明することが重要であることが理解された。
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