1988 Fiscal Year Annual Research Report
人為的な歯の移動時における歯根膜血管網および歯槽骨の立体的観察
Project/Area Number |
63570858
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
高橋 和人 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00084707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (30190416)
中村 聡 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (80172401)
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Keywords | 歯の移動 / 咬合性外傷 / 歯根膜血管網 / 歯根骨 / 血管鋳型標本 |
Research Abstract |
人為的に歯を移動すると移動期と不動期が間歇的に現われることは前年度までの科研実績報告書の中に示した。矯正力をかけてから2週間後硝子様変性部の吸収が終了し、歯は再び移動を開始した。この時期実験歯は上下の動揺を示し、歯根膜には非圧迫側である頬側、舌側に広範囲の血管網の消失部が出現することを報告した。この原因を究明するために、実験的にイヌの下顎P_2、P_3の中央咬頭頂に高径2mmのインレーを装着したところ、2週間後に広範囲にわたる歯根膜血管網の消失を観察した。この時期は前年度の報告と一致し、また血管網の消失形態全く類似し、歯槽骨の表面は滑沢で、フォルクマン管の開口部も消失していた。この実験付近のX線像では歯年膜腔の拡大はみられず、また歯の上下動揺はわずかであった。しかし実験4週を過ぎるとの歯根膜血管網を合成樹脂鋳型標本を作製、走査型電顕で観察してみると、血管網は修復し、歯根膜全体に分布していた。しかし歯槽骨表面すなわち歯根膜血管網の下層にあたる骨の表面には無数の吸収窩かみられた。X線像で観察すると歯根膜腔の拡大、歯の動揺もみられた。8週後には歯根膜腔は拡大し、歯根膜血管網の基本である2層構造はくずれ、複雑な網目が形成されていた。また歯槽上縁付近は大きく骨吸収がみられ、実験歯はにジグリングが加わったものと考えられた。また歯根膜の血管網は非常に密であるが、前述のように基本型は失われていた。この一連の実験は咬合性外傷を発症させ、その経過を観察したもので、すなわち2週後にはわずかな上下動のために歯根膜の血管網は消失、歯槽骨表面は壊死に陥り、この壊死骨が吸収されると、歯根膜腔は拡大し、血管網は再形成される。さらに咬合性外傷が続くと歯根膜腔さらには拡大し、歯槽中隔、根間中隔の吸収が起り不規則な血管網はさらに密度を増加していた。本実験は炎症を予防して行なわれた結果である。
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[Publications] Kazuto Takahash,et al.: Jpn.J.Oral Biol.31. 112-114 (1989)
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[Publications] Kazuto Takahashi,et al.: Recant advances in clinical periodontology. 587-590 (1988)
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[Publications] Kazuto Takahashi,et al.: Recant advances in clinical periodontology. 591-594 (1988)
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[Publications] Kazuto Takahashi,et al.: Tecant advances in clinical periodontology. 551-554 (1988)
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[Publications] Kazuto Takahashi,et al.: J.of Endodonticus. 14. 475-481 (1988)
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[Publications] Kazuto Takahashi, et al.: Acta anat.132. 17-27 (1988)
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[Publications] 高橋和人: "一般臨床におけるエクストルージョンの現在" グノーシス出版, 1-199 (1987)
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[Publications] 高橋和人: "図説 歯の解剖学" 医歯薬出版, 1-200 (1986)