1988 Fiscal Year Annual Research Report
バクテロイデス・ジンジバリスの赤血球凝集素がプロテアーゼ活性を有する可能性の検証
Project/Area Number |
63570865
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西方 眞 北海道大学, 歯学部, 教務職員 (00150243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 文信 北海道大学, 歯学部, 助手 (50001962)
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Keywords | バクテロイデス / ジンジバリス / 赤血球凝集素 / トリプシン様酵素 |
Research Abstract |
本研究では、バクテロイデス・ジンジバリス(以下本菌)の赤血球凝集(HA)が、トリプシン様プロテアーゼ活性を有するか否かを確かめるために、Hの精製を試みた。〔方法〕本菌の膜成分を材料とし、ゲル濾過(Biogel A0.5m)、イオン交換クロマト(DEAE-セルロース)、アフィニティークロマト(アルギニンセルロース)の順に精製を行なった。精製に当たってはleupeptinで阻害されるHA画分に着目した。〔結果〕アフィニティーカラムからの溶出に、アルギニンの濃度勾配を用いると、HAはアルギン濃度1〜5mMの範囲で1つのピークとして溶出された。このピークには、benzoyl-Arg p-nitroanilideを水解するトリプシン様酵素も検出された。このピークを、polyacrylamideゲル電気泳動で分析すると、やや幅広い一本の蛋白質バンドが検出され、この位置にHA活性と酵素活性が共に検出された。しかし、SDSを加えた素で分析すると、分子量4.6万の主バンドの他に2〜3本の薄いバンドが検出された。等電点電気泳動では、蛋白質バンド、HA活性、酵素活性のいずれも検出されなかった。このピークのHA活性と酵素活性は、leupeptin、antipain、tosyl-lysine-chloromenthl ketone、p-chloromercuribenzoate、N-ethylmaleimideで共に阻害された。〔考察〕クロマトグラフィー、電気泳動でHA活性と酵素活性は同じ挙動を示したが、両活性が同一分子によって発現されるのか、別分子により発現されるか、両分子が結合しているのかは明らかにならなかった。両活性とも、同じ阻害剤で阻害される事より、赤血球凝集にはトリプシン様酵素活性が関与している事はほぼ間違いないと言える。〔展望〕本研究では、赤血球凝集にプロテアーゼが関与するという興味ある事実が導かれた。今後は、電気泳的には均一な標品を得て、HA活性とトリプシン様酵素活性が同一分子上にあるのか否かを明らかにするとともに、この酵素活性が、赤血球凝集反応の過程でどの様に関与するのかについても明らかにして行きたい。
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Research Products
(1 results)