1988 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分析による唾液腺疾患の診断及び治療効果判定へのNMR法の適用と方法論の模索
Project/Area Number |
63570874
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野坂 篤子 徳島大学, 歯学部, 助手 (20198584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増山 博之 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (70173763)
佐藤 郁雄 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (90196212)
福富 茂 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (60199247)
上村 修三郎 徳島大学, 歯学部, 教授 (20028799)
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Keywords | 唾液 / 耳下腺唾液 / 全唾液 / 顎下腺唾液 / プロトンNMR |
Research Abstract |
体液関する検体検査では、今日血液と尿が主流となっいる。全唾液は数種の唾液腺からの分泌混合物であり、脱落上皮、白血球、口腔内常在菌等を含むため直接分析するには問題がある。本研究では、唾液を耳下腺と顎下腺から無菌的に採取し、生化学的分析手段として有用なNMR法を用い、唾液に関連した口腔内の炎症あるいは腫瘍の診断と治療効果の判定に用いるための方法論を模索することを目的とした。その第一歩として、健常者について、全唾液、顎下腺及び耳下腺から採取した唾液のNMRスペクトルを測定した。 全唾液と顎下腺唾液についてはシグナルの線幅が広く、信号雑音比の良いスペクトルを得るのに数時間を要したが、耳下腺唾液の場合、比較的短時間(30分以内)で良質のスペクトルが得られた。これは耳下腺唾液中の比較的分子量の小さいタンパク質、ペプチド、脂質及び低分子成分によるものを反映していると思われる。一日の採取時間を変えて測定した耳下腺唾液のスペクトルを比較したところ、タンパク質及びペプチドのメチル基とメチレン基の領域の信号強度が午後3時頃に最大を示すことが分った。これは唾液中のタンパク質濃度が午後3時頃に最大になることを示唆している。ローリ法で同一試料のタンパク質濃度を定量した結果、同様の日内変動を確認することができた。また乳酸のメチル基の信号強度にも唾液腺のグルコース代謝の日内変動を反映して変化がみられた。以上の結果は、耳下腺唾液の^1HNMRスペクトルが口腔内の生理状態をよく反映していることを示している。血液と異なり唾液の場合には、(1)NMR測定のための特定の前処理をする必要がない。(2)プロトンNMRの場合、測定に要する液量が少量(0.4ml)で済む。また短時間で測定できる(30分以内)という利点がある。このような観点から、耳下腺唾液の^1HNMRは将来診断に用いる点で実用的であると言える。
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Research Products
(1 results)