1989 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランディンによる歯肉結合組織の破壊と修復
Project/Area Number |
63570891
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野村 慶雄 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50107075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 洋二 岡山大学, 歯学部, 教授 (50029972)
栗原 英見 岡山大学, 歯学部附属病院, 講師 (40161765)
清水 秀樹 岡山大学, 歯学部, 助手 (70170983)
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Keywords | 歯肉線維芽細胞 / プロスタグランディン / サイクリックAMP / DNA合成 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
歯周疾患の憎悪にプロスタグランディン(以下PGと略す)が深く関与することを示唆する報告は多い。しかし、その多くは歯槽骨吸収に関するものであり、歯肉組織におけるPGの生理および作用メカニズムは解明されていない。そこで、昭和63年度の引き続き、次の研究計画に従って、歯肉線維芽細胞に対するPGの作用を明らかにし、歯周疾患の病態解析を行った。 <研究成果>1.PGの歯肉線維芽細胞の代謝機能に対する作用 正常ヒト歯肉線維芽細胞(ATCC1292)は、添加したPGにより基質の1つのであるGAG合成(糖鎖の延長および硫酸エステル化)に影響を受けないことが解った。培養線維芽細胞が合成・分泌するPGを、高速液体クロマトグラフィ-を用いて分析した。その結果、血清のみ添加した培養線維芽細胞はPGE_2を僅かに分泌し、一方、IL-1を添加したときには、大量のPGE_2を合成・分泌していることが解った。 2.PGの作用メカニズムの解析 前年度の研究成果より、PGE_2の線維芽細胞への作用が、cAMPを介していないことが示唆されている。そこでcAMP依存性蛋白リン酸化酵素(Aキナ-ゼ)の阻害剤であるHA1004でcAMP-Aキナ-ゼ系を阻害したが、PGE_2によるDNA合成抑制作用には変化がなかった。このことは、PGE_2による線維芽細胞のDNA合成抑制作用が、cAMP-Aキナ-ゼ系を介するものではなく、他の系(Cキナ-ゼ系など)を介していることを強く示唆するものである。
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