1988 Fiscal Year Annual Research Report
Computed Tomographyの歯内療法領域への応用に関する研究
Project/Area Number |
63570898
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
平林 正道 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (20104482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 泰尚 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (30191646)
高城 利光 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (70104346)
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Keywords | C.T.像 / 被曝線量 / 歯内療法領域 |
Research Abstract |
63年度はC.T.の歯内療法領域での有用性につい検討することを目的として、ヒト乾燥頭蓋骨実質欠損のC.T.像の解像度に関する基礎実験およびファントームを用いたC.T.撮影ときの被曝量に関する基礎実験を行い、以下の知見を得た。ヒト乾燥頭蓋骨を用いた基礎実験では、下顎小白歯根尖部に直径2.0mm〜6.0mmの人工的骨欠損を作製しC.T.像とDE-NTAL像を読影したところ、DENTAL像では、骨欠損が皮質骨に及んだ6.0mm欠損の状態では82.5%が読影可能であったが、骨欠損が海綿骨に限局した状態、すなわち5.0mm欠損の状態では16.9%であった。一方、C.T.像では、骨欠損が海綿骨に限局した3.0mm欠損の状態から81.3%が読影可能であった。同様の実験においてC.T.像では下顎大臼歯根尖部の骨欠損に対しても欠損の読影は容易であった。また、下顎大白歯近心舌側根尖部に皮質骨に及ぶ骨欠損を作製し、撮影方向の異なる2枚のDENTAL像により欠損の位置を判定したところ、66.1%が正しく判定できたが、C.T.像では100%に正しい判定がなされた。さらにC.T.像では、骨欠損とオトガイ孔との鑑別や、歯髄腔の形態の診査などが容易に行えた。ファントームを用いた被曝量に関する実験では、DENTAL10枚法における、C.T.撮影は照射野で0.4〜1.1R、甲状腺で0.06R、水晶体で0.35Rであったのに対して、C.T.撮影(SCANC+SCAN9枚)では、照射野で3.7〜6.6R、甲状腺で0.15Rの値を示したが、水晶体で0.12Rと、水晶体ではやや低い値を示した。このように、C.T.撮影は従来の歯科用X線撮影では判読困難とされている海綿骨質内に限局した病変、分岐部病変、複根歯における病変の位置の確認、病変の頬舌的な広がりなどを判読することが可能であるという利点があり、歯内療法領域での応用に有用であると考察された。しかしながら、今後は被爆線量の軽減に対する検討が必須であると考えられる。
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