1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの外側翼突筋の筋電図ー咀嚼時の活動様式についてー
Project/Area Number |
63570924
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
井上 宏 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (30067053)
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Keywords | 外側翼突筋 / 筋電図 / 咀嚼 |
Research Abstract |
本年度の分析目標は咀嚼時の平衡側外側翼突筋の筋活動様式を明らかにすることである。作業側外側翼突筋では最大開口位に達する以前に筋活動の消失を伴うことを前年度で報告した。これに対して平衡側外側翼突筋では8被検者中6人において最大79msecに到る最大開口位を越えての筋活動が認められた。この活動は閉口相における活動であるが,咀嚼側側頭筋と協調した対側外翼突筋の下顎の咀嚼側側方移動に呼応した活動と見なすことができる。このようなover durationの大きな被検者でのMKGチュ-イングベクトルを観察すると側方移動量の大きな動径を示した。本筋の活動停止後は咬筋によって閉口相終末に向かうがっ閉口相終末までの咬筋と協調活動は4人に認められたが,その筋活動は小さく同側側頭筋と共働する平衡側顆頭の安定に関連する活動と考察した。 咬合相での活動は咬合相の終末で開口前に全ての被検者で活動が認められたがその活動時間は作業側より短くしかも電位も小さかった。この活動を平衡側顆頭のスム-ズな早期前方移動に関与するもの,すなわち咀嚼時開口に対応する準備的な先行筋活動と考えた。3年間における研究結果より下記のような結論を得た。 咀嚼中の外側翼突筋は開口,側方移動に対応して作業側,平衡側で独立して,しかも両側の協調活動を通して合目的なChewing motionの動径を制御する。とくに,咀嚼側では咬筋,側頭筋による垂直的な咬合力の発現時に共働筋として関節窩での顆頭の安定を計ると同時に咬合相終末では閉口筋の活動消失後の上下機能咬頭内斜面における側方咬合力の発現にも関与することが示唆された。下顎運動経路への関与,顆頭の安定化,前方,側方咬合力の発現など咀嚼運動に極めて大きな役割を果していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)