1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト唾液腺導管樹立細胞を用いたシェーグレン症候群の診断応用
Project/Area Number |
63570926
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阪本 真弥 東北大学, 歯学部, 助手 (90157686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 義信 東北大学, 歯学部, 助教授 (20005078)
丸茂 町子 東北大学, 歯学部, 講師 (10005027)
三条 大助 東北大学, 歯学部, 教授 (70013943)
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Keywords | 抗唾液腺管抗体 / 抗核抗体 / ヒト唾液腺導管樹立細胞 / シェーグレン症候群 |
Research Abstract |
シェーグレン症候群(SjS)、病理組織学的には唾液腺、涙腺などの導管および腺房周囲の著しいリンパ球浸潤を特徴とし、やがて腺房の破壊、萎縮により外分泌機能が低下することによって乾燥症状を呈する。このような変化は、その機序に免疫機構の異常が存在することが指摘され、患者血清中に高率に出現する抗唾液腺管抗体(ASDA)、抗核抗体(ANA)などの自己抗体は、疾患特異抗体として診断上注目を集めてきた。従来、ASDA、ANAの検出は、凍結組織標本を用いて行われてきたが、この方法は作業の煩雑性、対応抗原として一定条件を得ることの困難性、非特異的反応が強いなどの数々の問題点があった。そこで今回は、唾液腺培養細胞にSV40を感染させ、トランスフォーム細胞を作製し、さらにクローニングして樹立したヒト唾液腺導管樹立細胞(HSD細胞)をsubstrateとして用いた。これにSjS患者確実例23例、疑い例21例の血清を反応させ、螢光抗体間接法によりASDA、ANAの検出を行い、各種臨床検査所見との関係を総合的に比較検討した。その結果、 1.ASDA陽性率は確実例78.3%、疑い例0%であった。 2.小唾液腺導管周囲のリンパ球浸潤が高度な症例ではASDA陽性率が高かった。 3.ANA陽性率は確実例87.0%、疑い例4.8%であり、ANA染色パターンは、斑紋型、均質型、辺縁型の3型に分類できた。 4.ANA陽性率は小唾液腺導管周囲のリンパ球浸潤が進む程高かった。 5.小唾液腺病理所見、耳下腺造影所見、唾液分泌量、口腔乾燥症状の程度とANA斑紋型陽性率との間には、明らかな関連性がみられた。 以上の結果より、HSD細胞をsubstrateとする新しいASDA、ANAの検出法は、検出感度が高く、観察条件にも優れ、SjSの血清学的診断にきわめて有用であることが確認された。
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Research Products
(2 results)