1989 Fiscal Year Annual Research Report
希土類コバルト磁石を併用した強磁性合金の埋入骨組織への影響に関する研究
Project/Area Number |
63570939
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Research Institution | Tokushima University |
Principal Investigator |
吉田 幸子 徳島大学, 歯学部, 助教授 (20035702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 友則 徳島大学, 歯学部付属病院, 医員
板東 泰博 徳島大学, 歯学部, 助手 (00208729)
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Keywords | インプラント / Pd-Co-Ni系磁性合金 / ラット / 顎骨組織 / 家兎 |
Research Abstract |
ラットを用いた実験では、処置後3か月の軟X線写真で実験群、対照群ともにインプラント体周囲にX線透過像はほとんどみられなかった。病理組織学的検索の結果では、処置後2週間で両群ともにインプラント体周囲に炎症性細胞浸潤をともなった線維性結合組織の介在がみられ、処置後1か月では両群ともインプラント体周囲は軽度の炎症性細胞浸潤をともなう薄い線維性結合組織で被覆されていた。処置後3か月では対照群はほぼ全周にわたってインプラント体と骨が直接接触していたのに対し、実験群においてはインプラント体と骨との間には一層の線維性結合組織が介在しているが、骨と直接接触している部分もみられた。実験動物にラットを選択して使用してきたが、この場合顎骨が小さいため手術野が狭くなり、また歯槽骨の破折がおこりやすいため、技術的に非常に困難な面があった。そこでより確実な実験を行う目的で、その後は健康な雌家兎(体重2500g)を用いて実験を行ってきた。家兎では全身麻酔下に左側下顎骨の下縁を露出させ、注水下にインプラント埋入窩を形成し、径1mm、長さ2mmの対照群のチタンおよび実験群の磁性合金をねじ込んだ後、皮膚を縫合閉鎖した。肉眼的観察の結果、処置後1か月以上の群では両群ともにインプラント体頭部の部分まで骨組織内に埋入されているものがあった。軟X線写真所見では両群ともに処置後2週間、1か月ではインプラント体周囲に一層のX線透過像がみられたが、処置後3か月ではインプラント体周囲にX線透過像はほとんどみられなかった。病理組織学的検索の結果では両群ともに処置後2週間、1か月でインプラント体周囲は軽度の炎症性細胞浸潤をともなった線維性結合組織で被われていたが、処置後3か月では対照群はosteoankylosisの状態が認められたのに対し、実験群では一部に線維性結合組織の介在がみられたが、炎症所見もなく、インプラント体周囲の骨形成は良好であった。
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