1989 Fiscal Year Annual Research Report
結晶化ガラスの顎骨補填材としての臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
63570943
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
倉地 洋一 昭和大学, 歯学部第2口腔外科, 助教授 (70112729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 真人 昭和大学, 歯学部第2口腔外科, 助手 (30190557)
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Keywords | 人工骨 / セラミックス / 結晶化ガラス / 顎骨欠損補填 / グラスセラミックス |
Research Abstract |
近年、顎骨欠損、歯槽堤の高度な吸収例に対する骨補填に各種セラミックス材料が開発され、臨床応用されている。今回われわれは、セラミックス材料のなかでも物性や生体親和性に優れているとされている結晶化ガラスに着目し、人工骨として臨床応用する目的で、家兎を用いて基礎的研究を行なった。実験には30羽の成熟家兎を用い、全麻下に家兎の下顎骨下縁に直系4mm深さ約3mmの骨欠損を2個作成し、一方に粒形0.5-1mmのCaO-SiO_2MgO-P_2O_5-CaF_2を組成とする結晶化ガラスを顆粒(GCP群)、他方にハイドロキシアパタイト顆粒(HAP群)を填塞した。術後2、4、8、12週で動物を屠殺し、初年度は未脱灰薄切切片を作成し組織学的に検討した。最終年度はさらに走査型電子顕微鏡ならびにX線マイクロアナライザ-を用いて骨との界面の結合状態、元素の動態についても検討した。結果:2週ではGCP、HAP両群ともに母骨と顆粒の間に幼弱な新生骨が形成され、一部は顆粒表面に達していた。4週では多量の新生骨梁が顆粒間、顆粒表面に形成され、8週では母骨に近接した部位ではほぼ全周が骨梁で覆われていた。新生骨梁の発育肥厚および隣接骨梁との癒合が進行し、一部ではハバ-ス層板の形成も認められた。12週では顆粒周囲の骨梁は増加しているものの、ほかの部位では骨梁はやや粗となっていた。GCPとHAP群を比較すると、わずかにGCP群のほうが周囲の骨形成状態は良好な傾向であった。SEM所見では顆粒表面に50μm前後の反応層がみられ、その表層において骨と結合している像が認められた。元素分析の結果では2週、12週共に顆粒中心から骨の界面に向かうにつれ、Si、Mgは減少し、Pは増加、Caはほぼ一定で、反応層の表層にCa、Pが多く認められた。今回の研究でGCP顆粒は組織親和性が良好で早期に骨組織と結合することが確認された。今後更に長期埋入例の検討を行なった後、臨床応用を行なう予定である。
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