1989 Fiscal Year Annual Research Report
唇顎口蓋裂裂隙部への歯の移動のレ-ザ-制御に関する研究
Project/Area Number |
63570955
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental Univ. |
Principal Investigator |
本橋 信義 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (10134735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須佐美 隆史 東京医科歯科大学, 歯学部助手 (80179184)
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Keywords | 唇顎口蓋裂 / 顎裂 / 歯の移動 / レ-ザ- / 骨移殖 |
Research Abstract |
実験動物としてラットを用い、63年度に確立した、骨移植巣の作製、移植方法ならびに歯の移動方法により、平成元年度においては骨移植片の周囲組織との間にみられた、初期変化を観察するとともに、歯の移動を試みた際の移植片にみられる組織学的変化を中心に実験を進めた。加えて、抜歯窩へのレ-ザ-照射の影響について、照射群と対照群との間に見られる創傷治癒の比較を行った。骨移植方法は、上顎第二臼歯のみではなく、第三臼歯もともに可及的に歯槽骨ごと摘出することにより、ラットカルバリアより得た骨粉末および長管骨骨髄移植時の操作性の簡便化を図った。歯の移動は骨移植を行わない対照群と、骨粉末移植群、骨髄移植群の3群に分け、それぞれの群について第一臼歯を初期加重約10gで遠心移動、さらに、各群の一部にヘリウムネオンレ-ザ-照射を行った。試料作製は、エ-テル麻酔下にて断頭屠殺し、通法に従い、厚さ4μmのパラフィン連続切片を作製し、HE染色を行った。これらの実験の結果、移植片の周囲組織との間にみられた変化としては、経時的に移植片が異物化していく傾向にあるものもみられたが、多くは周囲骨組織との間に新生間葉細胞が豊富に観察され、感染その他の異常な条件が排除されれば抜歯窩の周囲組織と近接する骨組織が形成される可能性がうかがえた。歯の移動に関しては、従来報告されている実験的歯の移動の際の歯周組織の所見とほぼ同様の所見が得られており、新生された骨組織への組織反応を検討するには本実験系ではより長期の移動実験を続けなくてはならないことが分かった。レ-ザ-照射の抜歯窩創傷治癒については現在のところ両者の間には殆ど差がみられていない。しかし、培養細胞におけるDNA合成能は明らかに照射群の方が有意の差をもって高くなっていることが分かってきており、本実験系での創傷治癒過程へ影響を及ぼしている要因を再検討する必要性が考えられた。
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