1989 Fiscal Year Annual Research Report
新しい子のう菌、担子菌を素材とした薬理活性物質の系統的探索
Project/Area Number |
63570981
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤本 治宏 千葉大学, 薬学部, 助教授 (50089603)
|
Keywords | 子のう菌 / 担子菌 / 薬理活性物質 / 系統的探索 / 致死毒性 / モノアミン酸化酵素阻害活性 / 抗acetylcholine作用 / 細胞性免疫 |
Research Abstract |
1.子のう菌中、前年度までに痙攣性の他に、新たに催炎性の致死毒性成分の含有が示されたNeosartorya fischeriにつき催炎性の毒性本体の新物質を単離しNFAと仮称して、その構造の解明を行った。NFAはC_<23>H_<29>NO_7の黄色物質でNMRスペクトルデ-タや各種性状より、不完全菌代謝産物tenellin等に類似した平面構造を有することを明らかにした。 モノアミン酸化酵素阻害(MAOI)活性試験で比較的強い活性が示されたTalaromyces luteusの活性本体として単離された新物質TL-1、-2は共に黄色物質でC_<19>H_<23>O_4Clの分子式を有する異性体で、TL-1は(8R)-7-deacetyl-O^8ー8-didydro-7-epi-sclerotiorin。TL-2は-1の11位の(Z)-異性体の構造を有することが判明した。即ち、TL-1、-2は共にazaphilone化合物である。MAOI活性を有する物質はParkinson病の治療薬として利用できる可能性が考えられるため、現在更にin vivoでの活性試験を計画している。 2.担子菌中、前年度までに新たに毒性が見出されたアシナガヌメリにつき引続き毒性成分の単離を行い、HS-A、-B、-Cと仮称した毒性本体を得た。HS-Aは近縁菌より以前細胞毒性成分として得られていたlanostane系トリテルペン3-acetyl-2-(3′-hydroxy-3′-methyl)-glutarylcrustulinolに一致し、新化合物HS-B、-Cも共に-Aに関連する構造を有すると判明した。HS-A、-B、-Cの致死毒性は中枢神経作用性のものと考えられるが、消化器系への異常も見られたのでマウス小腸標本Magnus法で調べたところ、これら化合物は抗acetylcholine作用を有することが判明した。 3.子のう菌、担子菌の免疫作用性成分の探索方法の検討については前年度に引続いて遅延型過敏反応を、又リンパ球幼若化反応を検討した。その結果、同じ細胞性免疫系への影響をin vitroの条件で調べるリンパ球幼若化反応を一次検索に用い、二次検索としてin vivo条件で調べる遅延型過敏反応を用いるのが探索方法として適当と判明した。
|
-
[Publications] H.Fujimoto,T.Matsudo,A.Yamaguchi,M.Yamazaki: "Two New Fungal Azaphilones from Talaromyces luteus,with Monoamine Oxidase Inhibitory Effect" Heterocycles. 30. 607-616 (1990)
-
[Publications] H.Fujimoto,K.Maeda,M.Yamazaki: "New Toxic Metabolites from a Mushroom,Hebeloma vinosophyllum III.Isolation and Structures of Hebevinosides XII,XIII,and XIV" Chem.Pharm.Bull.
-
[Publications] H.Fujimoto,Y.Takano,M.Yamazaki: "Isolation,Structures,and Some Pharmacological Properties of Toxic Metabolites from a Mushroom,Hebeloma spoliatum" Chem.Pharm.Bull.