1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570988
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
板谷 泰助 金沢大学, 薬学部, 助教授 (20019657)
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Keywords | 転移リボ核酸超修飾ヌクレオシド / 3環性ヌクレオシド / 蛍光性ヌクレオシド / 光学活性β / γ-不飽和アミノ酸 / キラル合成 / Wittig反応 / Heck反応 / グリコシル結合加水分解 |
Research Abstract |
1.題記標的化合物3-β-D__=-リボフラノシルワイブチン(l__〜)を合成するために、新しいタイプのWittig試薬としてアミノ基を9-フェニルフルオレニル基で保護したアミノ酸エステルのホスホニウム塩の合成を企画した。L__=-セリンメチルエステルにこの保護基を導入し、ついでトシル化することに成功したが、トシル体をより活性なヨード体に変換することはできなかった。そこで、トシル体を直接トリフェニルホフフィンと反応させ、低収率ながら目的のホスホニウム塩を得た。このものはベンツアルデヒドとのWittig反応において有望な結果を与えたが、この試薬の合成収率を実用レベルまで改善できなかったので、このルートによる合成計画は中断している。 2.第2の合成ルートのHeck反応に必要なヨウ化アリール体は、本研究担当者らがすでに合成法を確立している3-β-D__=-リボフラノシルワイのトリアセチル体を塩基存在下ヨウ素と処理するのみで高収率で得た。このものとL__=-N__ー-メトキシカルボニルグリシンのHeck反応はJefferyの方法に準じて行ない、一応満足すべき結果を得た。生成物を接触還元、メチルエステル化に続き脱保護することによってl__〜の最初の合成が実現した。l__〜のグリコシル結合は、緩和な酸性条件下速やかに加水分解をうけ、その速度は転移リボ核酸から単離されたワイブトシンの加水分解速度と同等であった。このようにして得られた塩基ワイブチンの光学純度は、すでに本研究担当者らがWittig反応によって得ているものに比して低く、上記のHeck反応においてl__〜のアミノ酸部分の立体異性化が起っていることが示唆された。そこで、Heck反応の反応条件がl__〜の異性化及び収率に及ぼす影響を種々検討した結果、収率を改善することには成功したが、異性化を防ぐことはできなかった。現在、立体化学的に純粋なl__〜の合成法を更に検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 板谷泰助: 薬学雑誌. 108. 697-715 (1988)
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[Publications] Taisuke,Itaya: Tetrahedron Letters. 29. 4129-4132 (1988)